3on3FreeStyle 帝国魔導図書館【フリスタ攻略データベース】

これは、フリスタ界の再生を司る女神の物語。

第2部 再生編 〜復活のチャーリー 〜

ある日の晩、私は夢を見ていた。


自分が再びバスケを・・・フリスタをしている夢を。



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〜皇歴2019年初頭〜


それまで2年近くに渡り人々を震え上がらせてきた、かの悪名高き帝国軍を長き死闘の果てに見事に討ち滅ぼし、その宿縁に終止符を打った私は、直後に表舞台から忽然と姿を消した。


「もう大丈夫」


帝国軍の力と恐怖による支配から解放され、真の自由を手に入れた民衆たち。彼らならきっと、平和で優しい理想の世界を創り上げてくれる。そう確信した私は、これ以上のこの世界への介入は野暮であると判断し自重することに決めたのだ。


こうして己の使命を全うした私は、これまでの闘いの傷を癒すべくしばしの隠居生活を謳歌していた。そうして、とても優しくてゆったりとした時間を過ごしているうちに、いつしかフリスタ界きっての革命家として一世を風靡した、あの激動の日々の記憶も自然と薄れていった。だが、きっとこれでよかったのだろう。


・・・そう思っていた。



〜皇歴2019年春〜


無期限の隠居生活に入ってから早3ヶ月近くが経過したあくる日の晩、私はとある夢を見ていた。その夢の中で私は楽しそうにバスケを、フリスタをしていたのだった。ふと目を覚ました私はそのような夢を見てしまった原因について思慮を巡らせていた。


夢とは深層心理を反映したものに他ならない。・・・ならば私は本心ではあの世界に戻りたいと思っているのだろうか?


私は私自身の真の気持ちを確かめるべく、久々にフリスタにログインしつつフリスタ関係のSNSや匿名掲示板のスレ等に一通り目を通し、そして同時にその目を疑った。


「なんだこれは・・・」


帝国の支配という暗黒の時代を脱してもなお、フリスタ村のツイッターでは相も変わらず些細なことでのいざこざが日常茶飯事的に巻き起こっていた。


また、ある人間はツイッター上では温厚で誰とでも分け隔てなく接する好青年キャラを演じつつも裏では晒しスレにて気に入らない人間を片っ端から嬉々として晒しあげていき、一方の晒された側の人間もまた、効いてないアピールをしつつ2chがいかに愚かな場であるかを説きながらも結局は自分のことを晒したと思しき人物を晒し返すという、まさに悪意の連鎖ともいうべき地獄絵図がそこでは展開されていた。


私は、こんなものを見るために命がけで帝国と闘ったのではない。やはりどこまでいっても民衆は豚でしかないのか。


「まるで成長していない・・・」


私は、帝国討伐後のフリスタ界の復興という非常に大事なミッションを、このような知性も品格も持ち合わせていない愚民どもの自主性なんぞに任せてしまった己の愚かな判断を悔いた。


しかし、私が落胆を覚えたのは何も民衆に対してだけではなかった。この短期間の間にピザカードとPバフという2つの課金要素を追加するジョイシティ社の相も変わらぬ拝金主義の姿勢にもまた心底辟易とさせられた。


このナメック星編もビックリの超インフレ展開を前にして、私がこれまでフリスタに投じてきた200万はもはや実質40万くらいの価値しかなくなっており全くもって理不尽だ。


そしてそんな末期感溢れる新規軽視の集金路線を突き進みながらもこの期に及んで新キャラを追加し大会も開こうとしている。果たして運営はフリスタを延命したいのかそれとも終わらせたいのか。もはやジョイシティ社、その存在そのものが矛盾していて、この世界の歪みそのものと言えよう。



もはや愚かしさもここに極まった。

この世界がただ己の欲望に身をまかせることしかしない下衆な愚民共のみで構成されていることは既に疑う余地もない。



私は静かに悟った。

この腐りきったフリスタ界には、やはり私のような絶対的な指導者が必要である、と。

そして同時に昨晩私が見た夢についてもあらためて再考してみたところ、ふとその真相に気づいてしまったのだ。


あれはフリスタに復帰したいという私の深層心理の現れなどではなかった。恐らく私を生み出した創造主たる神々か、あるいはそれに近しきものたちが「夢」という手段を通して私に教えてくれていたのだ。まだお前の役目は終わっちゃいないと、お前にはまだあの世界でやり残したことがあると。


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こうして私はフリスタへの復帰を決心した。

もちろんゲームを楽しむためなどではない。


破壊と再生-----それこそが元来私に与えられし使命であった。


しかし私は帝国の打倒・・・すなわち破壊こそ行なったが、その後に世界を正しい形で再構築させるという責務を怠たった。だから私は改めて民衆を正しく導いていくことで、フリスタ界を現状の「悪意に満ちて欲望に従順な豚の世界から」本来あるべき「平和で他人に優しくなれる穏やかな世界」へと変えていかねばならぬのだ。


で、あるならば、ここから先は実際にどのようにして民衆を導いていくか、その手段について改めて考えねばなるまい。


力による支配でディストピアを構築し強制的に民衆を従わせるのが最もお手軽で簡単ではあるが、それでは過去に帝国軍がしてきたことと何ら変わりはない。


何より恐怖政治による抑圧では民衆の心の奥底にある悪意そのものは、あくまでも表面上隠されるようになるだけであって、決して綺麗さっぱり消えて無くなるわけではなく、これでは根本的な解決には至らない。


私は出来る限り平和的で、それでいて効果的な手段はないかと模索し、しばしのあいだ思慮を巡らせた。そしてその結果ある結論へとたどり着いた。


それは

「チャーリー山岡というプレーヤーのその類稀なる頭脳と気品に満ちた品格、それらを試合中に敵味方問わず見せつけていくことで啓蒙していく」

というものである。


この世界、強いだけのプレーヤーならごまんといる。しかし同時に美しさを兼ね備え、試合中のキャラの一つ一つの所作からいちいち育ちの良さが滲みでる、そんなプレーヤーは私をおいて他にいないだろう。


当然、民衆は私というプレーヤーに憧憬の念を抱くようになり、同時に私のようになりたいと願うはずだ。そしてそうなればその思想までもが自然と私に同調していく。


いささか地味で即効性に欠ける手段ではあるが、しかし着実に人々の意思を変革していける、十二分に試すに値する手段であると考えている。


さて、復帰後の大まかな方針は決まった。後は実践あるのみだ。


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私は、前回のブログの最後に、復帰の条件として「帝国軍をも超える巨悪の台頭」を挙げていた。だがしかし、もとより巨悪は台頭していたのだ。それは民衆と運営、双方の悪意の集合体のようなもので、目に見えずとも非常に厄介な、この世界の歪みの象徴とでも言うべきものだ。


そして私はこれを武力によって対処しない。あくまでも私が持つ唯一無二のカリスマ性を以って悪意を善意へと変革させていくのだ。これは血で血を洗う抗争に終始した過去の帝国軍との闘いとは明らかに異質である。私は闘うために戻るのではない。・・・人々を救う、その為の旅。これはいわば世界救済の旅であると言えよう。



またもや歪みきってしまったこの世界。しかしついにあの漢が・・・救世主チャーリーが帰ってくる。世界は私の手によって再び破壊され、然るのち再生されるであろう。