3on3FreeStyle 帝国魔導図書館【フリスタ攻略データベース】

これは、フリスタ界の再生を司る女神の物語。

山岡少年の事件簿 File.1 〜ノートリアス共和国連続孤立事件〜

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 ~皇歴2020年春~

 

父が亡くなった。

 

数年前、フリスタ界に彗星の如く現れ、瞬く間に世界を混乱の渦に陥れたフリスタ史上最悪のテロリスト、チャーリー山岡。

 

今でこそ混沌の象徴として忌み嫌われる存在だが、私にとっては偉大な父だ。

 

しかし、晩年の父は「死してなお強まる怨念の力」と呼ばれる呪詛の力によって、これまで自身が積み上げてきたもの、その全てを失い廃人同然と化していた。そのうえ何か激しい妄想に取りつかれているかの様で、自身を月間3000万PVを誇る人気ブロガーであると思いこむようになっていた。

 

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悲しい現実

そんな父が、つい先日この世を去った。

一時期のフリスタ界を大いに沸かせた、時代の寵児のあまりに早すぎる死。

父の身に一体何が起きたのかと疑問を持つ者もいるかもしれないが、あまり詮索するのはおすすめしない。

ただ、1つだけ確実に言えることがある。それは、かつて憧憬の念を抱いていた父の、あのような無様な姿を、私はこれ以上見たくなかったということだ。

 

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父の死から半年後の皇歴2020年冬、私の生活は激変していた。

 

帝国制の象徴たる父の死を境に、フリスタ界には帝国不要論が巻き起こり、反山岡一派が中心となって帝国制の廃止を議決。それと同時に私は皇居を追い出されてしまい、以後は空き缶を拾い集めることで何とか生計を立てていた。

 

ただ肺と心臓が動いているだけで、とても生きているとは言えないその日暮らし。そんな、夢も希望も何もない日々を送り続けていると、当初は私の中で燃えたぎっていたはずのフリスタ界への復讐心も次第に消えつつあった。

 

しかしそんな折、転機は突如おとずれた。

 

ある日の朝、いつものようにゴミ収集所にて空き缶集めの作業を行っていると、突然見知らぬ男性2人に囲まれ声を掛けられたのだ。 

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「あの~、フェニックス山岡さんですよね?チャーリー山岡さんのご子息の・・・」

 

曰く、彼らはノートリアス共和国と呼ばれる、「完全平和主義」を唱える共和制国家の関係者であり、同時に旧帝国時代のチャーリー山岡のファン(通称:隠れ山岡)なのだという。

そして、チャーリー山岡最後の忘れ形見たるこの私の窮状を聞きつけ、平和の使者として共和国へ招き入れるべく遠方からはるばるやってきたのだそうな。

 

・・・私は思った。

渡りに船とはまさにこのことだ。スラムの空き缶売りの生活と、共和国での華やかな生活。比べるまでもない。

 

そしてなにより共和制というのが良い。つまり数年に1度は総選挙があるわけで、そこを勝ち抜けば晴れてプレジデントとなり全ての実権を握れる。つまり自国を、ノートリアス共和国という名の事実上の帝国へと転向させるも思いのままということだ。

 

ここまで材料が揃っていて、あえて断る理由などあるはずもない。私は二つ返事で彼らの提案を受け入れ、その瞬間、晴れてこの私フェニックス山岡の共和国への入国が決まった。

 

・・・しかし、このときの私はまだ知る由もなかった。

このノートリアス共和国こそが、まさにこれから訪れる

血塗られた惨劇の舞台であるということを。

 

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共和国へ向け車で移動している最中のこと。関係者の方から「暇つぶしにどうぞ」と渡された共和国民のリストを眺めていた私は、ふと、いくつかの住民の名前に引っ掛かりを覚えたのだった。

 

「そうだ。この人たちの名前はどこかで見たことがある。あれは確か、父の遺品たるアンチノートに・・・」

 

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アンチノート。その名の通り、生前の父が自身のアンチであると思しき人物を片っ端から羅列していったノートである。そして、共和国民のリストの中に、そのアンチノートに名前が書かれている人物が3名ほど見つかったのだ。

 

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私はこの事実に一抹の不安を覚えたが、とはいえノートリアス共和国は総勢40名以上からなる大国であり、別段その全ての住人と仲良くする必要もないし、アンチとはなるべく関わらないようにすれば問題ないだろうと、とりあえずはたかを括った。

 

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さて、無事共和国に到着した私は、まずは全国民に向けはじめの挨拶を行うことになった。どのオンラインゲームにおいても、ひとたびギルドに入れば誰もが通る通過儀礼である。

 

このとき、私はとても緊張していた。ファーストインプレッションというものの重要性を十二分に理解していたからだ。もしここで失態を犯してしまうと、この先どれほど努力を重ねても完全に取り返すのは困難だと言っていい。

 

しかしこれは同時にチャンスでもある。常日頃から、高圧的で横柄な人柄が前面に出ていた父のイメージを重ねられがちな私にとって、山岡一族を取り巻く負のイメージを払拭するのに、この最初の挨拶という舞台はうってつけだからだ。

 

だからこそ、私は事前に挨拶文を用意し準備万端にしておいた。当然、父のイメージとは一線を画す、非常に物腰の柔らかい丁寧な挨拶文である。 

 

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うむ、掴みは完璧だ。

 私は共和国入国後の最初の大仕事を無事完了し、ひとまず安堵した。

ただ、少々気がかりなこともあって、40名以上も国民がいるにも関わらず、この会心の挨拶に対するレスポンスがたった3つしか付かなかった点が少しばかり気になった。

 

とはいえ、あまり細かいことを気にしても仕方ない。おそらく、私が挨拶をしたタイミングで、たまたま多くの国民になんらかの用事が発生し、そうこうしている内に挨拶を返すタイミングを逸したのだろう。

とりあえずは、そう自分に言い聞かせた。

 

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さて、無事に最初の挨拶を済ませた私だが、一息つく間もなく次の作業に入っていた。入国したばかりのルーキーは、挨拶とは別に改めて自己紹介を書かねばならないという決まりがあるからだ。

 

そして私は、この自己紹介の作成にとてつもない時間と労力をかけていた。いくら気にしないようにと自分に言い聞かせたとて、やはり内心では先ほどの挨拶への反応が薄かったことを気にしていたからだ。

 

「共和国民の中には、帝国という概念そのものを知らない新規の人たちもいるはずで、先ほどの挨拶はそういう人たちを些か置いてけぼりにしてしまったのではないか?」

 

そう考えた私は、二度と同じ失敗を繰り返さぬために、新規の人たちにも帝国と山岡一族の歴史を理解してもらえるような、とにかく丁寧でわかりやすい理想的な自己紹介をつくる必要性があるとの考えに至った。そして3時間以上の格闘の末、ついに究極の自己紹介が完成した。

 

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これを読むだけでフリスタの歴史が大体わかる。父の分だけでなく自分の分もつくった

 

 苦心の末に完成させた完璧なる自己紹介。その完成度の高さに気を良くした私は、勢いそのままに間髪入れず次の作業に取り掛かっていた。

 

さて、続いての作業は用語集の作成だ。クラブ内で同じワードを共有することによって自然と連帯感を高めていける効果があるため、今では殆どのクラブのディスコにおいて、この用語集のコーナーが設置されているという。

 

しかし驚くべきことに、ノートリアス共和国には用語集が存在しない。ただ、それも仕方ないことなのだろう。この国は帝国制廃止後に台頭した新興国であるがゆえ、多少の不備はやむなしといったところか。

 

だがしかし、この特殊な状況こそ私にとっては大いなるチャンスである。本来、用語集の制作には多大なる時間と労力が必要で、一日二日でおいそれと仕上がるようなシロモノではない。

しかし私には父の遺品たる帝国用語集のデータがある。これを共和国用に改変するという方式ならば大幅に作業工程を削減することが可能だろう。早速、私は作業に取り掛かり2時間ほどで共和国用語集の第1稿が完成した。

 

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どうだろうか?元が帝国用であるがゆえに、まだまだ急ごしらえ感は否めないが、こちらは自己紹介とは違い、そもそも完璧を目指したものではない。

 

初めは初稿レベルの完成度に留め、あえてツッコミどころを残しておくことで、共和国民の間で「あれが足りない」「これは不要だ」といった議論が活性化する。

そうして少しずつ完成度を高めていく、その過程がより共和国民全体の団結力を高めることになり、ひいては我々共和国が掲げる完全平和主義の実現にもつながるのだ。

 

「ふう・・・さすがに疲れたな。まあ今日のところはこんなものか」

 

時刻は既に朝5時を迎えていた。一連の作業を終えた私は、やるべきことをやりきったんだという充足感に包まれながら泥のように眠った。

 

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それから5時間後の午前10時ごろ、スマホから発せられた1本の通知音によって私は眠りから覚めた。どうやらディスコに私あてのメンション付きで何か書き込みがされたようだ。

 

「早速きたか。さて、どのような賛辞が並べられているのだろうな」

 

どうせ数時間前に行った、私の優れた仕事を称賛するような内容の書き込みがなされたのだろうと信じて疑わなかった私だったが、ディスコを立ち上げてすぐ、その目を疑った。

 

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・・・この人は一体なにを言っているのだろう?

 

確かに夜中3時とか5時に通知音がいくのは、通知を切っていない人にとっては鬱陶しいことだったかもしれない。しかし私が昨晩、一夜にして成し遂げたその大いなる達成を鑑みれば、この程度のミニマムな犠牲など実に些細な問題にすぎない

 

また、「あなたを知らん人もおるんで。分かりますよね?」とあるが、言われずとも私は「私を知らない人」のことを第一に考えていた。だからこそ気が遠くなるほどの時間と労力をかけ、新規にもわかりやすい真の自己紹介を完成させたのだ。

 

そしてなによりも気になったのが、ディスコにはDM機能もあるというのに、わざわざ40名以上からなる衆人環視の中で1人の人間を説教したという点だ。かように、現代社会においてはモラルハザードの典型と取られる行為を平然と行ってしまうような著しくモラルに欠けた人間が、他人様にモラルを説く光景はあまりに滑稽と言わざるを得ない。

 

とまあ、この悪質クレーマーに対しては思うことが多かったが、あえて言い返すようなことはしなかった。なぜなら、私は表向きには平和の使者として共和国に赴いている立場であり、同時に既に共和国の一員でもある。ゆえに揉め事などもっての他で、何を差し置いても完全平和主義の理念を貫く義務が課せられているからだ。

 

「仕方ない、これも平和のためだ」

 

私はひとまず矛を収め形だけの謝罪を行うことにした。そしてその謝罪文を書いていた、まさにそのとき、不意にとんでもないことに気づいてしまった。このクレーマーこそが父のアンチノートに書かれていた、3名のアンチ山岡の中の1人だったのだ。

 

「・・・やはり動きを見せたか」

 

この瞬間、私は全てを悟った。要するに、この理不尽クレームは単なる出来レース。おそらく私が初日に何をしようと適当に難癖をつけクレームを出す、そういう段取りになっていたのだろう。そうやって入国早々に私を孤立化させること・・・それこそが奴らの真の狙いだったのだ。

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そしてどうやら、まんまと奴らの毒牙にかかってしまったようだ。しかし、まだ焦る必要はない。なぜなら、共和国には私を招いてくれた2名の支援者、つまり山岡シンパがおり、彼らがいる限り私が完全に孤立化することはないからだ。

 

であるならば私がこの状況下で取るべき行動はただ一つ、待つことだ。待って、シンパたちの援護を待つ。そして援護を受けたタイミングで一気に攻勢に転じる。それが現状の私に残された唯一の勝ち筋である。

 

ここは下手に動かず、彼らの登場を待つべくただひたすら耐え忍ぶ。私はそう覚悟を決めた。

 

ーーーしかし、待てど暮らせどシンパたちが現れることはなかった

 

「・・・おかしい。なぜ彼らは動いてくれないのだろう?」

 

この、予定外の状況を前にして流石の私も焦燥感に駆られていた。理由はわからないが、とにかく助けは来ないらしい。そしてそうこうしているうちに、私を取り巻く状況はどんどん悪化していき、もはや絶体絶命の危機に立たされていた。

だが、それでもまだ僅かに希望は残っている。そう・・・ノートリアス共和国のリーダー、「プレジデント・かっしー」という名の希望が。

 

プレジデント・かっしー

かつての帝国時代の王であり、我が父チャーリー山岡をブレーンに迎え入れることで長きに渡りフリスタ界を支配していた漢である。この、山岡一族とは因縁浅からぬ漢が、必ずや危機的状況から私を救いだしてくれるはずだ。

 

もはや私は藁にもすがる想いで、残されし最後の希望たるかっしーの登場を願った。

 

「それでもかっしーなら・・・かっしーならきっと何とかしてくれる!!」

 

・・・そんな私の切なる願いが通じたのだろうか?一向に事態が収束を見せず、完全平和主義の理念をも脅かしかねないこの状況を見かねたプレジデント・かっしー御自らが、ひとまず場を収めるべく仲裁にはいり、ついにお気持ちを表明されるというのだ。

 

正真正銘、これがラストチャンス。依然として窮地に立たされている私だが、これからかっしーの口から語られる内容の如何によっては、この、入国早々に孤立化の危機から逃れることができるかもしれない。私は、そんな淡い期待を抱きつつお気持ち表明に耳を立てた。

 

・・・が、期待もむなしく、ここでプレジデントの口から語られたその内容は、まさに私の息の根を止めるにふさわしいものだった。

 

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一見すると非常にバランスが取れており、仲裁役の仕事として優れているようにも見えるこの文章だが、一連の騒動そのものが出来レースである以上、残念ながら指摘の多くはズレてしまっている。3時から5時の通知がどうのというのは、既にこの問題の本質ではないのだ。

 

帝国時代、悪逆皇帝として君臨し続けたプレジデントほどの漢ならば、この騒動そのものがアンチ山岡の陰謀であるという本質を見抜いてくれるのでないかと期待したが、少々買いかぶりだったか。

 

あるいは、アンチ山岡たちの魔の手はプレジデントにまで及んでいたのかもしれない。彼らの執拗な根回しによって、元来、山岡一族とは懇意であったはずの、あのかっしー元皇帝陛下までもが既にアンチ山岡と化していたのだ

 

「だとすれば・・・そうか!そういうことか!!

 

かつては父、チャーリー山岡きっての盟友とまで言われていた、プレジデント・かっしーの山岡アンチ化。この驚愕の事実に気づいたことで、やっと一連の不可思議な事件の真相を解き明かすために必要な、全てのピースが揃ったのだった。

 

「謎はすべて解けた・・・!!」

 

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当初、私は山岡ファンを名乗る2名の共和国関係者から招待を受け、このノートリアス共和国への入国を果たした。しかし、彼らに私を連れてくるよう指令を下したであろうプレジデント自身が、既にアンチ共から洗脳を受け、奴らの傀儡となっている以上、あの2名の自称山岡ファンもアンチだった可能性が極めて高い。

 

そう考えれば、この窮地に彼ら自称ファン達がなんの助け舟も出してくれなかったことにも合点がいく。要するに、この共和国への招待そのものがだったのだ。

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さて次に、ここまで手の込んだ罠を用意してまで彼らが成そうとした、その目的についてだが、おそらくは山岡一族を根絶やしにすることに違いない。

帝国色の強い人間をフリスタ界から一掃し、現体制を盤石にすること・・・それこそが奴らの真の狙いだったのだ!

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・・・本来、孤立化が確定的となってしまった私には2つの選択肢が残されていた。

 

1つはこの共和国から脱北すること。そしてもう1つは、共和国に残り孤立化を受け入れた上で地道に名誉挽回に努めること。

 

しかし彼らの真の目的が、この私フェニックス山岡の抹殺であると判明した以上、私に残された選択肢は1つしかない。

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こうして、私は共和国からの脱北を決心し、命からがら逃げだしたのだった。

 

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~ 皇歴2021年1月 某スラム街にて ~

 

あの悪夢の惨劇から数週間が経過し、ようやく落ち着きを取り戻した私は、改めてあの忌まわしき事件について振り返っていた。

 

私は確かにおおよその真相には辿り着いたが、いち早くあの場から逃げ出すことを何よりも優先したが為に、事件の真の黒幕が誰だったのか、その看破には至っていないからだ。

 

恐らく、私に理不尽クレームを入れた人物は真の黒幕ではない。あんなものはただの鉄砲玉に過ぎないだろう。奴とは別に、山岡一族の抹殺を目論み、そのためにプレジデントを洗脳し、狙い通り私を窮地に陥れた真の黒幕がいるはずなのだ。

 

とはいえ、あの場から逃げだした以上、黒幕に関する証拠をこれ以上掴むことは出来ない。非常に残念だが、それでも脱北という自分の判断自体は間違いではなかったはずだ。もしあのまま共和国に留まっていれば、いずれ消されていたはずで、それこそ黒幕の思うつぼなのだから。

 

どうやら、全ての真相にたどりつくには、現時点ではあまりに力不足であることを認めるほかないようだ。しかし不幸中の幸いにして、あの惨劇の舞台から逃れることは出来た。ならば、まだ決着を焦ることも無いだろう。

 

そんな風に、今回の事件について考えを巡らせていた折、私のtwitter上に妙なリプが送られていることに気づいた。

 

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私は、このリプを見た瞬間「怪しいな」と思ってしまった。事件の現場において、聞いてもいないのに「私は犯人じゃない!」と叫ぶ人間がいたら、真っ先に怪しむのが自然だからだ。

 

しかし、これではいささか分かりやすすぎる。とすれば、この人物に関しては黒幕が放った工作員であり、ミスリードを誘ったと見るべきだろうか?

 

いや・・・あの黒幕が今更そんな生ぬるいことをしてくるとは到底思えない。恐らくこれは「その気になればいつでもお前を刺せるぞ」という黒幕からの警告なのだ。

 

だとすれば、もはや悠長に構えている場合ではない。一刻も早く黒幕率いる共和国軍に対抗しうるチカラを手に入れる必要がある。そこで私は、偉大なる父に倣い新たなる帝国軍を興すことにした。

 

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もっとも、現時点では、報酬につられてやってくるような愚民どもをかき集めて出来た帝国とは名ばかりの烏合の衆にすぎない。

 

これでは帝国というよりただの豚の集まり。それこそ父の最高傑作たる神聖EnjoyD帝国の五賢帝には遠く及ばない。

・・・が、このような付け焼刃に頼らざるを得ないほど今の私は追い詰められているのだ。

 

あの日、黒幕からの事実上の警告文が届いて以降、私は毎日のように黒幕の差し金と思しき連中に絡まれるようになった。そしてその都度ズタボロにされており、いつ命を落としてもおかしくない、そんな危機的状況に置かれている。

 

ゆえに私は、いち早く現帝国にのさばる豚どもを選別し、より優秀な豚のみを残して徹底的に鍛え上げることで共和国軍に対抗せねばならない。

 

だが、正直言ってこれは最期の悪あがきのようなものだ。生前の父はよく、「帝国は一日にして成らず」ということわざを口癖にしていたが、それほどまでに一介の豚が五賢帝クラスにまで成長を遂げるケースは極めて稀なのである。

 

・・・以上のことがらを踏まえると、近日中に私は共和国の放つ凶弾によって消されてしまう公算が高いだろう。いや、むしろそう予期したからこそ今回の手記の公開に踏み切ったのだ。これ以降、もし私がフリスタ界から消え、twitterや手記の更新が完全に途絶える時がくれば、それはつまりノートリアス共和国によって消されたということを意味する。つまり今回の手記はある種のダイイングメッセージとしての機能を持つのだ。

 

そして願わくばこの手記の読者の中から、私亡きあと、私に代わり黒幕の正体を突き止め、さらにノートリアス共和国という、もはや全盛時のEnjyoD帝国軍をも超えし巨悪の暴虐を食い止め、制裁を加えんとするような真の山岡ファン、真の帝国原理主義が誕生せんことを切に願う。

 

 

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