<所信表明> 新管理人ルーシー山岡より愛を込めて
フフ・・・まずははじめまして、とでも言っておこうか。
当ブログの新管理人にしてフリスタ非公認サポーター、ルーシー山岡である。
以後お見知りおきを。
さて、このたび前任者たる我が愚弟「フェニックス(鳳凰星座の)チャーリー山岡」に代わり、この私ルーシー山岡が当ブログの運営を任されることになった。
・・・と言ってもあまりに急な話ではあるので、まずはこのように至った経緯についてをざっくりとだが説明させていただこう。
ーーー きっかけは、2ヶ月半前に行われた公式大会だった。
当時、帝国打倒を掲げる革命家にしてフリスタ界における絶対神を自称していた我が愚弟チャーリー山岡は、「ただ悪意をまき散らすだけの害悪と化したノートリアス帝国に対し公式大会にて神の裁きを下す」と宣言した。
しかし諸君らも知っての通り、そこまで豪語しておきながらの初戦敗退。つまり帝国戦に辿りつくことすら出来ずじまいという無残な結果に終わり、フリスタ界に恥をまき散らした。
ただ、いかに山岡一族最弱の名を欲しいままにする我が愚弟といえど、山岡の名を冠することが許された漢である以上、ベジータ戦で例えるところのサイバイマン的立ち位置のチームに負けるほど弱くもないはず。
そこで、私なりに改めて公式大会の全試合を振り返ってみた。するとある恐ろしい疑惑が浮かび上がったので、この場を借りて諸君らと共有したいと思う。
単刀直入に言って、今大会において我が愚弟はハメられたと見るべきだろう。
と言うのも、どうやら愚弟は巨大化した帝国に対抗すべく、ForHonorというクラブと同盟を組み共同戦線を張っていたようなのだが、この私の独自調査によると、このForHonorは愚弟と同盟を組むより前の時点で既に帝国の息がかかっていた、つまり帝国側のスパイだった可能性が極めて高く、結果、ForHonorによる情報漏洩が決め手となり敗北を喫した公算が強いのだ。
さて、そのような不正疑惑もあり敗れ去った愚弟のその後だが、わざわざ帝国討伐宣言を出した上で初戦敗退という無様な結果に終わったショックからか、大会終了から既に2か月以上経過した今なお立ち直ることが出来ずにいた。
そればかりか、バスケと競馬を融合させるとかいう良く分からない配信を垂れ流すようになる等、「帝国打倒を掲げる革命家にしてフリスタ界の監視者」という彼本来の任務を放棄し現実逃避にばかり走るようになってしまった。
このような事態を受け委員会は我が愚弟「フェニックス(鳳凰星座の)チャーリー山岡」の解任を正式に議決。改めてこの私ルーシー山岡に白羽の矢が立った。
・・・以上がここ3か月の間にフリスタ界で起きた大きな人事異動の顛末である。
**************
さて、前述の通り永久追放に処されてしまった愚弟に代わり、これからはこの私ルーシー山岡がフリスタ界を統括していくことになるのだが、それに伴い、諸君らに一つ誤解してもらいたくないことがある。
確かに今回、私は全てのアカウントを愚弟から引き継ぐ形を取らせてもらった。
が、だからといって政策方針まで愚弟と同じとは限らないということ。そこだけは絶対に理解いただきたいのだ。
というのも、そもそも私は愚弟と違い現在の「ノートリアス帝国」がフリスタ界の調和を乱し混沌をもたらすものであるとは考えておらず、しかるに彼ら帝国軍に対し介入行動を取るつもりもない。その必要性がないという認識だ。
なぜなら、今の帝国は以前のそれとは違い、もはや脅威となりうるほどの影響力が無いことがつい最近、あの公式大会後に起きたある事件によって白日の下晒されたからである。
であれば、ここからはその事件についてを諸君らに向け、かいつまんで説明していく事とする。と言うわけで、まずはこちらの画像をご覧頂きたい。
↑は大会を制覇した帝国Aチームのとあるメンバーによるツイートなのだが、とてもアジアNO.1の座に輝いた直後とは思えないほどに怒りと悲しみに満ちたお気持ち表明が展開されており、優勝報告のツイートとしては明らかに異様である。
が、この人物のツイートなぞまだ可愛いもの。
こちらも同じく帝国メンバーによるツイートなのだが、前者のそれと比べてもより明確に公式配信でコメントしていた民衆への怒りと敵意を剥き出しにしており、さらには以後のコメント欄の検閲までも仄めかすかのようなツイートまで残しており何とも不穏な感じだ。
とはいえ、彼ら帝国勢が怒るのも無理はない。というのも、当時私もあの公式配信を見ていたのだが、確かにあのコメント欄の異常性それ自体は認めざるを得ず、端的に言ってあの場に居た連中はみな頭がおかしかった。とりわけ、次に示す一連のやり取りなどはその異常性の最たるものだ。
上記の一連のコメントは、初戦敗退後も同盟軍(その実態は帝国のスパイだった可能性が高いのだが)たるHorFonorを律儀に応援する愚弟によるものであるが、それに対するレスポンスがこちら。
・・・あまりの愚かしさにもはや言葉が出ない。
戦いの場に立ってすらいない者が、正々堂々戦い惜しくも敗れた者を揶揄するというのは絶対にあってはならないことだ。
しかし、驚くべきことにあの場に居た連中の中に、そういった常識やらスポーツマンシップやらを持ち合わせた者は誰一人として居なかったようで、
この無礼なる者を正しく戒めるどころか、むしろ愚弟を茶化し、それを肴にコメント欄が盛り上がるという常軌を逸した空間がそこには形成されていた。
かように常識の欠如した連中ばかりの集まりであれば、総じて頭の固い傾向にある帝国勢からすれば不愉快極まりないコメントに満ちていたことは想像に難くなく、そういった意味では帝国側にも同情の余地はある。
が、そうは言っても多くの民衆は、これら一連の騒動を踏まえた上でこう思ったはずだ。「少しばかりコメント欄が荒れ、彼らの望む内容では無かった程度のことで以後のコメント欄の検閲まで示唆するとは、やはりチャーリー氏が以前から指摘していた通り彼ら帝国勢はフリスタ界のディストピア化を目論む危険な存在なのか」と。
まあ、帝国によるこれまでの悪魔的所業の数々を鑑みれば、諸君らがそう危惧したくなる気持ちも痛いほどに分かる。
しかし、今回の一連の事件を踏まえた上での私の見解は、諸君らのそれとは大きく異なる。
むしろ冒頭でも述べた通り、この1件は現帝国の求心力低下という実態を如実に差し示す、そんな事件であったと確信している。
よって今この場を借りて、改めて全フリスタ民に向けこう宣言したい。
「全ての脅威は去った。もはや帝国など捨て置け!!」と。
・・・無論、この私がここまで言い切るからには相応の根拠がある。
ここで、先ほど諸君らにお見せした某帝国メンバーのお気持ちツイートを今一度思い返してみてほしい。
というのも、そのツイートのとある一部分には、現帝国の影響力低下を示す重要なエビデンス、その一端がこれでもかと詰まっているからだ。
して、そのエビデンスとは、ずばりこちらのハートマークの部分。
驚くべきことに、これほどに強い言葉で並べられた問題提起に対し、同意を意味する「いいね」が1つたりとも付かなかったのである。いや、そればかりか直接的にディスられた立場と言える、あのコメント欄で暴れていた連中の中に、あらためて当時の自身の振る舞いへの反省の弁を述べるような者も(私の観測範囲内では)ついには現れなかった。
つまりこれらの事実こそが、端的に帝国の求心力低下を示す確たる証拠と言え、また、民衆たちの間でこれほどまでに反帝国の気運が高まったのは、ひとえに4年以上に渡る我が愚弟の反政府活動の賜物と言えよう。
フ・・・山岡一族の恥晒しとまで揶揄された我が愚弟だが、どうやらフリスタ界における活動、その全てが必ずしも無駄では無かったということか。
まあ、とにもかくにも愚弟の活躍によって帝国の影響力は弱体化を極め、それによりフリスタ民を長年苦しめてきた帝国制のシステムそのものが事実上形骸化した。
もちろん、帝国というクラブそのものが滅んだわけではないが、現状の帝国はもはや単なる「強いクラブ」の一つに過ぎず、彼らが望むようなディストピアの構築、事実上の世界征服も実現不可能となった。
とどのつまり、我が愚弟チャーリー山岡は帝国に勝ったのだ!
であれば、愚弟の職務を引き継いだとはいえ、実の姉たるこの私がすべきは反帝国活動にあらず。なぜなら帝国打倒は既に愚弟が成したことであり、もはや帝国は終わったコンテンツと化したのだから。
ゆえに私は、愚弟が出来なかったこと、見ることが出来なかった景色を見る。
ーーー破壊と再生。
我が愚弟チャーリー山岡は帝国制の「破壊」という、山岡一族の宿願とでも言うべき大義を成し、そこで力尽きた。
ならば私はフリスタ界の「再生」を司る女神となろう。
それも、どことなく近寄り難いというこれまでの山岡一族のイメージを払拭しつつ、より民衆らと寄り添い、ともに力を合わせてフリスタ界を盛り上げていけるような、そんな親しみある神として君臨すべく活動していく所存である。
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さて、この私ルーシー山岡が此度の人事異動によってフリスタ非公認サポーターへ就任した、その経緯についての説明は以上となる。
が、多くの民衆は「フリスタ非公認サポーターってなんぞや?」といった疑問を持つことだろう。
よってここからは、この職務についての具体的な説明、並びに今後の活動目標ついて記していこうと思う。
まずはじめに、フリスタ非公認サポーターの主な達成目標についてだが、大きく分けて
1.フリスタ界がより盛り上がるような企画立案
2.女性ユーザー比率の増加
3.フリスタ界の監視
という3つに分類することができ、中でも上記1.「フリスタ界がより盛り上がるような企画立案」こそが当面の最重要課題となる。
長きに渡り続いた帝国制によって傷ついてしまった多くの民衆たちの笑顔を取り戻し、既にフリスタから離れていってしまった人たちが再び戻りたいと思えるような、そんな魅力的な場を構築すること・・・。
それこそがこの私に課せられし使命なのだ。
そして、その為の施策として既にいくつかの企画が動いている。
中でもとりわけ大きな目玉企画が、「フリスタ」と「ウマ娘」のコラボレーションだ。
この企画は、「現実の競走馬にバスケットボールは持てないが、ウマ娘なら持てるんじゃね?」という斬新な着眼点でもって生まれたものであり、より具体的には、ウマ娘アニメ2期の主人公たる「トウカイテイオー」をフリスタの新キャラとして迎え入れるという非常に画期的なコラボ企画である。
さて、この企画の存在を知った諸君らは、おそらく「いやいくらなんでも安直すぎね?」と、当コラボ企画について懐疑的に捉えていることだろう。
が、そのような判断はあまりに早計と言わざるを得ない。
というのも、私はなにも「ウマ娘が流行っているから」という理由だけでこのコラボ企画を立案したわけではなく、あくまでもこのウマ娘という作品が、主にユーザー層の観点からフリスタのコラボ相手としては絶対的に適している、そう確信したがゆえの発案なのである。
そして勿論、ここまで言い切るからにはそれを裏付ける根拠となるような資料も用意してあるので、ぜひご覧いただきたい。
上記資料はウマ娘のユーザー層を示すものであるが、この資料からは30歳前後の独身男性がボリューム層であり、女性ユーザーが極端に少ないということが読み取れるだろう。
一方、我らがフリスタもやはりウマ娘と同様に独身中年男性がボリューム層となっており、また、男女比に至っては一説には98対2程度とされ、格ゲーも真っ青なホモソーシャルが築かれていると言われている。
そういった観点において、バスケと競馬というまるで接点の無いジャンル同士でありながら、実のところおおよそのユーザー層は一致しており、そのことからも両者の親和性の高さがうかがえるし、それゆえフリスタのコラボ相手としてふさわしいと私は考えたのである。
さて、そんなこんなで鳴り物入りで始動した当コラボ企画の進捗についてだが、既に企画書も完成しており、JOYCITY社、Cygames社の両社と水面下で交渉を続けていた・・・のだが・・・。
残念なことに現在、こちらの企画については事実上の凍結状態となっている。
そのように至ってしまった理由は大きく2つあって、まず1つ目の理由として、「ウマ娘ブームの急速な沈静化」が挙げられる。
この、ブームの沈静化という事実は私のツイッターのTLにもハッキリと影響を与えていて、春先の頃のTL上におけるウマ娘占有率は圧巻の一言だったが、今となってはウマ娘関係のツイートを目にする事があまりなくなってしまった。
また、セルランなんかも如実に下がってきており「おっさんを集めるゲーム」に負けたりしているらしい(なんjで知った)。
そして、このような想定以上の右肩下がりはコラボ相手たるフリスタにとっても非常に大きな痛手である。
というのも、こちらのコラボ企画の実現にはどれだけ早く見積もってもまだ半年以上はかかるのだが、この調子で右肩を続けられてしまうと半年後にはフリスタのコラボ相手として相応しくないレベルにまで落ちこんでしまっているかもしれないからだ。
周知の通り、コラボというのは双方に利益が、つまり互いにwin-winの関係であることが求められる。
が、今から半年後のウマ娘が、果たしてフリスタとコラボするに見合うだけの格を維持できているだろうか?という疑念を、残念ながら払拭することが出来なかった。
それこそがコラボ企画凍結の1つ目の理由である。
そして残るもう1つの理由として、「男性ユーザー比率の更なる増加」が懸念されることが挙げられる。
これについては前述の達成目標2.「女性ユーザー比率の増加」にも大きく関わるが、30代独身男性が主要ユーザーたるウマ娘とのコラボによってフリスタ界の更なるホモソーシャル化を招くようなことは断じてあってはならない。
何故なら、私は全ての女性フリスタユーザーを代表し、女性にとって魅力的な世界の構築こそを至上命題とする者。
いずれはフリスタユーザーの男女比を、5:5・・・は流石に現実的でないにしても6:4ないしは7:3程度へと是正し、フリスタ界全体を健全な状態へと導いていかねばならぬ立場にある。
して、そのような使命を帯びている人間が、それとはまるで真逆の男性優遇政策を取り、結果としてフリスタ界を今以上にミソジニスト男性で溢れ返させてしまう・・・そのような事態を招くことだけは何としても避けねばならないのだ。
であれば、女性ユーザーに敬遠される要因となりかねないようなコラボは自重すべきという結論に至るのは当然の流れであり、これこそが企画凍結の2つ目の理由である。
と、まあこんな感じでウマ娘とのコラボ企画については残念ながらポシャってしまったが、 これに腐らず今後もより魅力的な企画を立案し、フリスタ界に貢献すべく活動していく所存である。
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さて、長くなってしまったが、最後にあと1点だけ諸君らに伝えるべき事項が残っているので、心して聞いてほしい。
すなわち前述の達成目標3.「フリスタ界の監視」についてなのだが、誠に勝手ながら今回、私はこちらの業務についてはあまり関与しない予定でいる。
その理由についてを有り体に言えば、企画立案などの業務が多忙を極めるがゆえ、どうにも監視業にまで手が回らないからである。
しかしこう書くと、「帝国は(事実上)滅びたとはいえ新たなる巨悪が生まれたらどうするんだ!?」と不安に思う者もいることだろう。
が、どうか安心してほしい。
代わりと言ってはなんだが、この件については我が愚弟チャーリー山岡が残した遺産をフル活用して対処していこうと考えている。
具体的には、4年にも渡る愚弟の反帝国活動の影響下にある者、通称:山岡チルドレンと呼ばれる6名の戦士たちをこの監視業にあてがうという計画を現在煮詰めている真っ最中であり、してその6名の戦士とは即ち
の上記6名を差す。
いずれの人物も、かの帝国メンバーによる激しい叱責を受けてなお屈しなかった鋼の意志の持ち主であり、同時に、どこか頭のネジがすっとんでいるかのような狂気に満ちた発言が度々目立つ点も、どことなく我が愚弟チャーリー山岡を彷彿とさせる。
そんな、我が愚弟の生まれ変わりとでも言うべき山岡チルドレン達であれば、改めて私がタクトを振るうまでもなく必ずや立派に監視業を勤め上げてくれることだろう。
私はそう確信している。
**************
というわけで、今回は公式大会の裏で巻き起こった大きな人事異動についての解説、並びに新たにフリスタ界を統括することになったこの私ルーシー山岡の今後の活動内容についての説明を所信表明的にひとしきりさせて頂いた。
勿論、今回記事にした内容以外にも様々な改革を予定しており、そのような改革の一環として当ブログのリニューアルも敢行する。
具体的には、独身中年男性の承認欲求充足日誌とでも言うべき内容だったこれまでの当ブログの方向性を一新し、今後はよりフリスタの攻略に特化したデータベース的な内容にしていく予定である。
また、リニューアルに伴いブログタイトルを従来の「キセキを呼ぶ漢チャーリー山岡の軌跡」から「3on3FreeStyle 帝国魔導図書館」へと変更した。
なんとなく、タイトルを変えただけで有用なデータベース感が出た気がするのだが、いかがだろうか?
<了>
山岡少年の事件簿 File.1 〜ノートリアス共和国連続孤立事件〜
~皇歴2020年春~
父が亡くなった。
数年前、フリスタ界に彗星の如く現れ、瞬く間に世界を混乱の渦に陥れたフリスタ史上最悪のテロリスト、チャーリー山岡。
今でこそ混沌の象徴として忌み嫌われる存在だが、私にとっては偉大な父だ。
しかし、晩年の父は「死してなお強まる怨念の力」と呼ばれる呪詛の力によって、これまで自身が積み上げてきたもの、その全てを失い廃人同然と化していた。そのうえ何か激しい妄想に取りつかれているかの様で、自身を月間3000万PVを誇る人気ブロガーであると思いこむようになっていた。
そんな父が、つい先日この世を去った。
一時期のフリスタ界を大いに沸かせた、時代の寵児のあまりに早すぎる死。
父の身に一体何が起きたのかと疑問を持つ者もいるかもしれないが、あまり詮索するのはおすすめしない。
ただ、1つだけ確実に言えることがある。それは、かつて憧憬の念を抱いていた父の、あのような無様な姿を、私はこれ以上見たくなかったということだ。
******************
父の死から半年後の皇歴2020年冬、私の生活は激変していた。
帝国制の象徴たる父の死を境に、フリスタ界には帝国不要論が巻き起こり、反山岡一派が中心となって帝国制の廃止を議決。それと同時に私は皇居を追い出されてしまい、以後は空き缶を拾い集めることで何とか生計を立てていた。
ただ肺と心臓が動いているだけで、とても生きているとは言えないその日暮らし。そんな、夢も希望も何もない日々を送り続けていると、当初は私の中で燃えたぎっていたはずのフリスタ界への復讐心も次第に消えつつあった。
しかしそんな折、転機は突如おとずれた。
ある日の朝、いつものようにゴミ収集所にて空き缶集めの作業を行っていると、突然見知らぬ男性2人に囲まれ声を掛けられたのだ。
「あの~、フェニックス山岡さんですよね?チャーリー山岡さんのご子息の・・・」
曰く、彼らはノートリアス共和国と呼ばれる、「完全平和主義」を唱える共和制国家の関係者であり、同時に旧帝国時代のチャーリー山岡のファン(通称:隠れ山岡)なのだという。
そして、チャーリー山岡最後の忘れ形見たるこの私の窮状を聞きつけ、平和の使者として共和国へ招き入れるべく遠方からはるばるやってきたのだそうな。
・・・私は思った。
渡りに船とはまさにこのことだ。スラムの空き缶売りの生活と、共和国での華やかな生活。比べるまでもない。
そしてなにより共和制というのが良い。つまり数年に1度は総選挙があるわけで、そこを勝ち抜けば晴れてプレジデントとなり全ての実権を握れる。つまり自国を、ノートリアス共和国という名の事実上の帝国へと転向させるも思いのままということだ。
ここまで材料が揃っていて、あえて断る理由などあるはずもない。私は二つ返事で彼らの提案を受け入れ、その瞬間、晴れてこの私フェニックス山岡の共和国への入国が決まった。
・・・しかし、このときの私はまだ知る由もなかった。
このノートリアス共和国こそが、まさにこれから訪れる
血塗られた惨劇の舞台であるということを。
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共和国へ向け車で移動している最中のこと。関係者の方から「暇つぶしにどうぞ」と渡された共和国民のリストを眺めていた私は、ふと、いくつかの住民の名前に引っ掛かりを覚えたのだった。
「そうだ。この人たちの名前はどこかで見たことがある。あれは確か、父の遺品たるアンチノートに・・・」
アンチノート。その名の通り、生前の父が自身のアンチであると思しき人物を片っ端から羅列していったノートである。そして、共和国民のリストの中に、そのアンチノートに名前が書かれている人物が3名ほど見つかったのだ。
私はこの事実に一抹の不安を覚えたが、とはいえノートリアス共和国は総勢40名以上からなる大国であり、別段その全ての住人と仲良くする必要もないし、アンチとはなるべく関わらないようにすれば問題ないだろうと、とりあえずはたかを括った。
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さて、無事共和国に到着した私は、まずは全国民に向けはじめの挨拶を行うことになった。どのオンラインゲームにおいても、ひとたびギルドに入れば誰もが通る通過儀礼である。
このとき、私はとても緊張していた。ファーストインプレッションというものの重要性を十二分に理解していたからだ。もしここで失態を犯してしまうと、この先どれほど努力を重ねても完全に取り返すのは困難だと言っていい。
しかしこれは同時にチャンスでもある。常日頃から、高圧的で横柄な人柄が前面に出ていた父のイメージを重ねられがちな私にとって、山岡一族を取り巻く負のイメージを払拭するのに、この最初の挨拶という舞台はうってつけだからだ。
だからこそ、私は事前に挨拶文を用意し準備万端にしておいた。当然、父のイメージとは一線を画す、非常に物腰の柔らかい丁寧な挨拶文である。
うむ、掴みは完璧だ。
私は共和国入国後の最初の大仕事を無事完了し、ひとまず安堵した。
ただ、少々気がかりなこともあって、40名以上も国民がいるにも関わらず、この会心の挨拶に対するレスポンスがたった3つしか付かなかった点が少しばかり気になった。
とはいえ、あまり細かいことを気にしても仕方ない。おそらく、私が挨拶をしたタイミングで、たまたま多くの国民になんらかの用事が発生し、そうこうしている内に挨拶を返すタイミングを逸したのだろう。
とりあえずは、そう自分に言い聞かせた。
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さて、無事に最初の挨拶を済ませた私だが、一息つく間もなく次の作業に入っていた。入国したばかりのルーキーは、挨拶とは別に改めて自己紹介を書かねばならないという決まりがあるからだ。
そして私は、この自己紹介の作成にとてつもない時間と労力をかけていた。いくら気にしないようにと自分に言い聞かせたとて、やはり内心では先ほどの挨拶への反応が薄かったことを気にしていたからだ。
「共和国民の中には、帝国という概念そのものを知らない新規の人たちもいるはずで、先ほどの挨拶はそういう人たちを些か置いてけぼりにしてしまったのではないか?」
そう考えた私は、二度と同じ失敗を繰り返さぬために、新規の人たちにも帝国と山岡一族の歴史を理解してもらえるような、とにかく丁寧でわかりやすい理想的な自己紹介をつくる必要性があるとの考えに至った。そして3時間以上の格闘の末、ついに究極の自己紹介が完成した。
苦心の末に完成させた完璧なる自己紹介。その完成度の高さに気を良くした私は、勢いそのままに間髪入れず次の作業に取り掛かっていた。
さて、続いての作業は用語集の作成だ。クラブ内で同じワードを共有することによって自然と連帯感を高めていける効果があるため、今では殆どのクラブのディスコにおいて、この用語集のコーナーが設置されているという。
しかし驚くべきことに、ノートリアス共和国には用語集が存在しない。ただ、それも仕方ないことなのだろう。この国は帝国制廃止後に台頭した新興国であるがゆえ、多少の不備はやむなしといったところか。
だがしかし、この特殊な状況こそ私にとっては大いなるチャンスである。本来、用語集の制作には多大なる時間と労力が必要で、一日二日でおいそれと仕上がるようなシロモノではない。
しかし私には父の遺品たる帝国用語集のデータがある。これを共和国用に改変するという方式ならば大幅に作業工程を削減することが可能だろう。早速、私は作業に取り掛かり2時間ほどで共和国用語集の第1稿が完成した。
どうだろうか?元が帝国用であるがゆえに、まだまだ急ごしらえ感は否めないが、こちらは自己紹介とは違い、そもそも完璧を目指したものではない。
初めは初稿レベルの完成度に留め、あえてツッコミどころを残しておくことで、共和国民の間で「あれが足りない」「これは不要だ」といった議論が活性化する。
そうして少しずつ完成度を高めていく、その過程がより共和国民全体の団結力を高めることになり、ひいては我々共和国が掲げる完全平和主義の実現にもつながるのだ。
「ふう・・・さすがに疲れたな。まあ今日のところはこんなものか」
時刻は既に朝5時を迎えていた。一連の作業を終えた私は、やるべきことをやりきったんだという充足感に包まれながら泥のように眠った。
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それから5時間後の午前10時ごろ、スマホから発せられた1本の通知音によって私は眠りから覚めた。どうやらディスコに私あてのメンション付きで何か書き込みがされたようだ。
「早速きたか。さて、どのような賛辞が並べられているのだろうな」
どうせ数時間前に行った、私の優れた仕事を称賛するような内容の書き込みがなされたのだろうと信じて疑わなかった私だったが、ディスコを立ち上げてすぐ、その目を疑った。
・・・この人は一体なにを言っているのだろう?
確かに夜中3時とか5時に通知音がいくのは、通知を切っていない人にとっては鬱陶しいことだったかもしれない。しかし私が昨晩、一夜にして成し遂げたその大いなる達成を鑑みれば、この程度のミニマムな犠牲など実に些細な問題にすぎない。
また、「あなたを知らん人もおるんで。分かりますよね?」とあるが、言われずとも私は「私を知らない人」のことを第一に考えていた。だからこそ気が遠くなるほどの時間と労力をかけ、新規にもわかりやすい真の自己紹介を完成させたのだ。
そしてなによりも気になったのが、ディスコにはDM機能もあるというのに、わざわざ40名以上からなる衆人環視の中で1人の人間を説教したという点だ。かように、現代社会においてはモラルハザードの典型と取られる行為を平然と行ってしまうような著しくモラルに欠けた人間が、他人様にモラルを説く光景はあまりに滑稽と言わざるを得ない。
とまあ、この悪質クレーマーに対しては思うことが多かったが、あえて言い返すようなことはしなかった。なぜなら、私は表向きには平和の使者として共和国に赴いている立場であり、同時に既に共和国の一員でもある。ゆえに揉め事などもっての他で、何を差し置いても完全平和主義の理念を貫く義務が課せられているからだ。
「仕方ない、これも平和のためだ」
私はひとまず矛を収め形だけの謝罪を行うことにした。そしてその謝罪文を書いていた、まさにそのとき、不意にとんでもないことに気づいてしまった。このクレーマーこそが父のアンチノートに書かれていた、3名のアンチ山岡の中の1人だったのだ。
「・・・やはり動きを見せたか」
この瞬間、私は全てを悟った。要するに、この理不尽クレームは単なる出来レース。おそらく私が初日に何をしようと適当に難癖をつけクレームを出す、そういう段取りになっていたのだろう。そうやって入国早々に私を孤立化させること・・・それこそが奴らの真の狙いだったのだ。
そしてどうやら、まんまと奴らの毒牙にかかってしまったようだ。しかし、まだ焦る必要はない。なぜなら、共和国には私を招いてくれた2名の支援者、つまり山岡シンパがおり、彼らがいる限り私が完全に孤立化することはないからだ。
であるならば私がこの状況下で取るべき行動はただ一つ、待つことだ。待って、シンパたちの援護を待つ。そして援護を受けたタイミングで一気に攻勢に転じる。それが現状の私に残された唯一の勝ち筋である。
ここは下手に動かず、彼らの登場を待つべくただひたすら耐え忍ぶ。私はそう覚悟を決めた。
ーーーしかし、待てど暮らせどシンパたちが現れることはなかった。
「・・・おかしい。なぜ彼らは動いてくれないのだろう?」
この、予定外の状況を前にして流石の私も焦燥感に駆られていた。理由はわからないが、とにかく助けは来ないらしい。そしてそうこうしているうちに、私を取り巻く状況はどんどん悪化していき、もはや絶体絶命の危機に立たされていた。
だが、それでもまだ僅かに希望は残っている。そう・・・ノートリアス共和国のリーダー、「プレジデント・かっしー」という名の希望が。
プレジデント・かっしー。
かつての帝国時代の王であり、我が父チャーリー山岡をブレーンに迎え入れることで長きに渡りフリスタ界を支配していた漢である。この、山岡一族とは因縁浅からぬ漢が、必ずや危機的状況から私を救いだしてくれるはずだ。
もはや私は藁にもすがる想いで、残されし最後の希望たるかっしーの登場を願った。
「それでもかっしーなら・・・かっしーならきっと何とかしてくれる!!」
・・・そんな私の切なる願いが通じたのだろうか?一向に事態が収束を見せず、完全平和主義の理念をも脅かしかねないこの状況を見かねたプレジデント・かっしー御自らが、ひとまず場を収めるべく仲裁にはいり、ついにお気持ちを表明されるというのだ。
正真正銘、これがラストチャンス。依然として窮地に立たされている私だが、これからかっしーの口から語られる内容の如何によっては、この、入国早々に孤立化の危機から逃れることができるかもしれない。私は、そんな淡い期待を抱きつつお気持ち表明に耳を立てた。
・・・が、期待もむなしく、ここでプレジデントの口から語られたその内容は、まさに私の息の根を止めるにふさわしいものだった。
一見すると非常にバランスが取れており、仲裁役の仕事として優れているようにも見えるこの文章だが、一連の騒動そのものが出来レースである以上、残念ながら指摘の多くはズレてしまっている。3時から5時の通知がどうのというのは、既にこの問題の本質ではないのだ。
帝国時代、悪逆皇帝として君臨し続けたプレジデントほどの漢ならば、この騒動そのものがアンチ山岡の陰謀であるという本質を見抜いてくれるのでないかと期待したが、少々買いかぶりだったか。
あるいは、アンチ山岡たちの魔の手はプレジデントにまで及んでいたのかもしれない。彼らの執拗な根回しによって、元来、山岡一族とは懇意であったはずの、あのかっしー元皇帝陛下までもが既にアンチ山岡と化していたのだ。
「だとすれば・・・そうか!そういうことか!!」
かつては父、チャーリー山岡きっての盟友とまで言われていた、プレジデント・かっしーの山岡アンチ化。この驚愕の事実に気づいたことで、やっと一連の不可思議な事件の真相を解き明かすために必要な、全てのピースが揃ったのだった。
「謎はすべて解けた・・・!!」
当初、私は山岡ファンを名乗る2名の共和国関係者から招待を受け、このノートリアス共和国への入国を果たした。しかし、彼らに私を連れてくるよう指令を下したであろうプレジデント自身が、既にアンチ共から洗脳を受け、奴らの傀儡となっている以上、あの2名の自称山岡ファンもアンチだった可能性が極めて高い。
そう考えれば、この窮地に彼ら自称ファン達がなんの助け舟も出してくれなかったことにも合点がいく。要するに、この共和国への招待そのものが罠だったのだ。
さて次に、ここまで手の込んだ罠を用意してまで彼らが成そうとした、その目的についてだが、おそらくは山岡一族を根絶やしにすることに違いない。
帝国色の強い人間をフリスタ界から一掃し、現体制を盤石にすること・・・それこそが奴らの真の狙いだったのだ!
・・・本来、孤立化が確定的となってしまった私には2つの選択肢が残されていた。
1つはこの共和国から脱北すること。そしてもう1つは、共和国に残り孤立化を受け入れた上で地道に名誉挽回に努めること。
しかし彼らの真の目的が、この私フェニックス山岡の抹殺であると判明した以上、私に残された選択肢は1つしかない。
こうして、私は共和国からの脱北を決心し、命からがら逃げだしたのだった。
******************
~ 皇歴2021年1月 某スラム街にて ~
あの悪夢の惨劇から数週間が経過し、ようやく落ち着きを取り戻した私は、改めてあの忌まわしき事件について振り返っていた。
私は確かにおおよその真相には辿り着いたが、いち早くあの場から逃げ出すことを何よりも優先したが為に、事件の真の黒幕が誰だったのか、その看破には至っていないからだ。
恐らく、私に理不尽クレームを入れた人物は真の黒幕ではない。あんなものはただの鉄砲玉に過ぎないだろう。奴とは別に、山岡一族の抹殺を目論み、そのためにプレジデントを洗脳し、狙い通り私を窮地に陥れた真の黒幕がいるはずなのだ。
とはいえ、あの場から逃げだした以上、黒幕に関する証拠をこれ以上掴むことは出来ない。非常に残念だが、それでも脱北という自分の判断自体は間違いではなかったはずだ。もしあのまま共和国に留まっていれば、いずれ消されていたはずで、それこそ黒幕の思うつぼなのだから。
どうやら、全ての真相にたどりつくには、現時点ではあまりに力不足であることを認めるほかないようだ。しかし不幸中の幸いにして、あの惨劇の舞台から逃れることは出来た。ならば、まだ決着を焦ることも無いだろう。
そんな風に、今回の事件について考えを巡らせていた折、私のtwitter上に妙なリプが送られていることに気づいた。
私は、このリプを見た瞬間「怪しいな」と思ってしまった。事件の現場において、聞いてもいないのに「私は犯人じゃない!」と叫ぶ人間がいたら、真っ先に怪しむのが自然だからだ。
しかし、これではいささか分かりやすすぎる。とすれば、この人物に関しては黒幕が放った工作員であり、ミスリードを誘った罠と見るべきだろうか?
いや・・・あの黒幕が今更そんな生ぬるいことをしてくるとは到底思えない。恐らくこれは「その気になればいつでもお前を刺せるぞ」という黒幕からの警告なのだ。
だとすれば、もはや悠長に構えている場合ではない。一刻も早く黒幕率いる共和国軍に対抗しうるチカラを手に入れる必要がある。そこで私は、偉大なる父に倣い新たなる帝国軍を興すことにした。
もっとも、現時点では、報酬につられてやってくるような愚民どもをかき集めて出来た帝国とは名ばかりの烏合の衆にすぎない。
これでは帝国というよりただの豚の集まり。それこそ父の最高傑作たる神聖EnjoyD帝国の五賢帝には遠く及ばない。
・・・が、このような付け焼刃に頼らざるを得ないほど今の私は追い詰められているのだ。
あの日、黒幕からの事実上の警告文が届いて以降、私は毎日のように黒幕の差し金と思しき連中に絡まれるようになった。そしてその都度ズタボロにされており、いつ命を落としてもおかしくない、そんな危機的状況に置かれている。
ゆえに私は、いち早く現帝国にのさばる豚どもを選別し、より優秀な豚のみを残して徹底的に鍛え上げることで共和国軍に対抗せねばならない。
だが、正直言ってこれは最期の悪あがきのようなものだ。生前の父はよく、「帝国は一日にして成らず」ということわざを口癖にしていたが、それほどまでに一介の豚が五賢帝クラスにまで成長を遂げるケースは極めて稀なのである。
・・・以上のことがらを踏まえると、近日中に私は共和国の放つ凶弾によって消されてしまう公算が高いだろう。いや、むしろそう予期したからこそ今回の手記の公開に踏み切ったのだ。これ以降、もし私がフリスタ界から消え、twitterや手記の更新が完全に途絶える時がくれば、それはつまりノートリアス共和国によって消されたということを意味する。つまり今回の手記はある種のダイイングメッセージとしての機能を持つのだ。
そして願わくばこの手記の読者の中から、私亡きあと、私に代わり黒幕の正体を突き止め、さらにノートリアス共和国という、もはや全盛時のEnjyoD帝国軍をも超えし巨悪の暴虐を食い止め、制裁を加えんとするような真の山岡ファン、真の帝国原理主義者が誕生せんことを切に願う。
終
劇
<最期の手記>最悪なる1年 〜 逆襲のA 〜
帝国臣民の諸君。久しぶりである。
いや・・・こういう茶番のような文章を書くのはもうやめよう。
何故なら、既に今の私は帝国の人間でもなければ、そもそもフリスタプレーヤーですらないのだから。むしろフリスタなど二度とやりたくないし見たくもない。みんなもフリスタ関連のツイートとかするの出来ればやめてくれ。虫唾が走る。心底うんざりだ・・・。
と、まあこういった調子なので、私がフリスタ界に戻ることは絶対に無い。そこは安心してほしい。なんならこのまま人知れずひっそりと消える予定だったのだが、かっし~元皇帝陛下をはじめ、世話になった人たちになんら挨拶も説明も無しに消えてしまうのは、やはり良くないことだ。
なによりそれは私が帝国時代に最も大切にしていた、ノブリスオブリージュの信念に反する。
だから、私は右手の震えをなんとかして抑え込みキーボードを叩く。チャーリー山岡の消失。その理由、経緯をすべて書き記すことで、最期の挨拶に代えさせていただきたい。もちろん納得してもらえるかはわからない。それでも・・・たとえ許してもらえなくとも、書くべきなのだ。
皇歴2019年から2020年4月現在までの1年間は、私にとってまさに悪夢の1年となった。
しかし、もとを正せば全て私の自業自得でしかなかったのだが。
・・・順を追って説明しよう。
皇歴2019年1月に私は当ブログにて、とある記事を書いた。
記事の内容は当時、私と同じく旧神聖エンジョイD帝国軍に属する同僚の帝国兵であり、フリスタプレーヤーだったA氏及びB氏両人を告発する内容だった。
当時の私は、まるで悲劇のヒーローにでもなったかのような気分で、感情的になって書いていたが、今読み返すとかなり一方的で、公正さを欠いた内容に見える。
しかし、いまさら私の主張が正当だったか否かを検証したところであまり意味がない。
ただ一つ確実なこと、それは私が彼らのフリスタ生命を奪ったという事実だ。
A氏B氏は共にそれなりの重課金プレーヤーで、A氏はおそらく30万くらい、B氏に至っては100万前後投じていた可能性が高い。
それほどまでに入れ込んでいたゲームを、私は半ば強制的にやめさせてしまった。
さぞかし無念だったに違いない。
しかし、当時の私は彼らのことを慮るどころか、「悪者をやっつけてやった。ジェムス(jamtetojam)の仇を取ってやったぜ!」程度のことしか頭に無かった。なんて浅はかだったのだろう。
そして、告発文を公開してから3か月も経たずして、私は再びフリスタをプレーしていた。
本来はA氏とB氏をかなり一方的に告発する、その代償として自分もフリスタを辞めるという、等価交換の原則に則った趣旨であったはずなのに、さも当然のように私はフリスタに復帰していた。
多分、告発から復帰までの、そのすべてが予定調和だったのだ。
なんてさもしい人間なのだろう。他人を陥れ、自分はちゃっかり助かる。
当時の私は帝国軍幹部という支配層の立場から、善良なるフリスタプレーヤーの皆さんを愚民呼ばわりし、ことあるごとに民衆は豚であると罵倒し嘆いていたが、どう考えても真の愚民は自分自身であった。しかし愚かなる者は自分が愚かであることに気づけない。
そして・・・それから間もなくのことだった。私の身に様々な災厄が降りかかり始めたのは。
~皇歴2019年5月某日~
帝国に復帰してから1か月後、私の体はある異変を感じ取っていた。
なにかがおかしい。胸のあたりが常に張っている感じで、なんだか息苦しい。
特に夜中寝ているとき、呼吸困難と言えるレベルで息が吸えなくなる瞬間があり、その苦しさからまともに睡眠が取れない日々が続いていた。これではとてもじゃないがゲームをしようなどという気分にはなれない。
自慢じゃないが私は、これまで病気一つしたことがないような健康な人間だった。そんな私が生まれてはじめて味わう体の不調。
現実の私はネット上でのキャラ設定とは大きく異なり、非常に繊細で、臆病な人間である。だから酷く怯えた。
「なにか良くない病気、癌とかだったらどうしよう」
私は両親を共に癌で亡くしていて、比較的、短命な家系だ。ゆえにとうとう自分の番が来てしまったのかもしれない。美人薄命とはよくいうが、自分もその例に漏れないのではないか?そんな不安に駆られながら、私は病院に向かい、人生初の胃カメラによる診察を受けた。
結果としては、胃にピロリ菌がいただけのことだった。
医師から、これといった大病ではない旨の説明を受けたとき、私はひどく安堵した。そして処方してもらった薬を言われた通り一週間のみ続け、無事ピロリ菌の除去に成功した。
「なんか全然大したことなくて良かったな。無駄にビビって損したわ。まあとりあえず病気もなおったし、これでちゃんと眠れるようになって、ようやくフリスタにも戻れるかな」
体調不良からしばらく遠ざかっていたフリスタにようやく復帰できる。ただ普通に眠れて、普通にゲームを楽しめる。私は、そんなあたり前の日常に戻れる喜びを噛みしめていた。
「帰ったらとりあえず寝て、起きたら久々にフリスタをやろう」
「ククク、待ってろ愚民ども。長らく私がログインしていなかった影響で、きっと現状のフリスタ界は瘴気に満ちているはずだ。ならばゲームに戻ったらまずは豚小屋の掃除だな」
「良い豚と悪い豚の選別、そこから始めるとしよう。まったく、世直しも楽じゃないな」
そんなことを考えながら私は眠りについた。
しかしこの後すぐに、ようやくフリスタに戻れるという私の淡い期待は、無残にも打ち砕かれることになる。
~皇歴2019年5月末日深夜~
「く、苦しい・・・息ができない。体が・・・動かない・・・!!」
ピロリ菌の除去には確かに成功した。そのはずなのに、呼吸困難の症状はまるで改善されてはいなかった。それどころか、むしろこれまでより悪化していた。
私はあまりの苦しさから一瞬パニックに陥りかけたが、ここで下手を打てば本当に死んでしまうかもしれないと思い、なんとか心を落ち着けた。
そして少しでも多くの酸素を体内に取り込むべく大きく息を吸って吐く、また大きく息をすって吐くという一連の動作を繰り返した。
すると、自分の喉から「ヒュ~、ヒュ~」という音が漏れているのに気付いたが、気にせず更に深呼吸を続ける。
「ヒュ~、ヒュ~」
「ヒュ~、ヒュ~」
「ヒュ~、ヒュ~・・・サナイ」
ふと、自分の呼吸とは別に、なにか人間の声のようなものが混じっていることに気づいた。しかし今の私にはそれを気にしている余裕はない。
「ヒュ~、ヒュ~・・・ユルサナイ」
「オマエヲ・・・ユルサナイ・・・!!」
「!!!」
瞬間、私は思わずとびおきた。・・・はずだったのだが、なぜか私の体は仰向けのまま、微動だにすることができなかった。
**************
気づくと夜は明けていた。
昨晩の出来事は、結局なんだったのかよくわからない。
どうやら私は、あの後すぐに気を失ってしまったようで、結局なぞの声の正体が何だったのかはわからずじまいだった。
「きっと、ただの幻聴だったのだろう。いや、そもそもずっと夢を見ていたのかもしれない。うん、きっとそうだ。そうに違いない」
人一倍怖がりな私にとって、昨晩の怪奇現象は自身のキャパをはるかに超える出来事だった。ゆえに、恐怖心を抑え込むためにも、ただ思考を停止させるほかなかったのだ。
「なんだ、夢だったのか。俺、なんか疲れてんのかな、ははは・・・」
幸いにも、これ以降は昨晩のような怪奇現象に見舞われることは無くなった。
~皇歴2019年9月某日~
ピロリ菌を除去してもなお慢性的な息苦しさが消えなかった私は、相も変わらず通院生活を続けていた。最終的な診断結果は後天性の「気管支喘息」。
タバコなど全く吸わない私が、なぜ呼吸器系の病気にかかってしまったのかはわからない。
残念ながら一時の治療で治る病気ではないので、私は一生この病気を抱えて生きていくことになってしまった。
とはいえ、処方してもらった薬を飲んでいれば、ずいぶんと喉は楽になる。
そう・・・確かに楽にはなったのだが、しかし依然として私は眠れない日々を過ごしていた。
なぜか?その理由は自身の体調とは別のところにあった。
リアルの私は、兄と二人で飲食店を営んでいた。早逝した両親から受け継いだ由緒ある店で、自分で言うのもなんだが地元ではそこそこ有名な店だった。
桃鉄で、もしウチの物件が登場したら3億は必要になると思われる優良物件である。
しかし、これまで順風満帆だった店の経営状態が皇歴2019年に入ってからなぜか急激に悪化。売り上げは右肩下がりを続け、9月になって、いよいよこのままだと危ないぞという話を兄と毎日のようにするようになっていた。
正直いって私は、その時点で既に精神的にだいぶ参っていて、このブログにも変な投稿をしてしまった。とはいえ父と母の魂とも言える店をそう簡単に潰すわけにはいかない。
なんとかしてこの悪い流れを断ち切らなければならない。だから私も兄も、自分たちの給与を大幅に減らした上で、アルバイトには正直に事情を話し極力出勤を減らすようにしてもらった。そして様々な施策を凝らしながら身を粉にして働いた。
その甲斐あってか、経営状態は幾分改善されて、なんとか商売を続けていける目途が立った。正直いって、今までの人生でこんなに頑張ったことは一度たりとも無かった。
一般的にきついイメージが強い飲食業とはいえ、うちの店の場合、兄弟で明確に役割分担をしながら経営していたため、1日における私の労働時間は、一般的なサラリーマンのそれよりむしろ短いくらいだった。
故にこれまでは、プライベートの時間でフリスタしたり変な長文ブログを書いたりする余裕があったのだ。でも今はそんなことをしている場合じゃない。
決意を新たにした私は、兄に向かって、こう力強く宣言した。
「今まで色々と負担かけちゃって本当にゴメン。もう、アニキが嫌がってたあの変なバスケのゲームとか金輪際やめるから。ちゃんと一生懸命マジメに働くから。だからこれからも一緒に頑張って、なんとかお店を守っていこう」
もう二度と誘惑に負けてあの変な、妙に金ばかりかかるバスケゲームはしない。兄に対してというより、そう自分自身に言い聞かせるための宣言だった。
しかし、その宣言から数か月後、私と兄の店は、更に予想だにもしなかった不幸に見舞われることになった。
そう、いまなお世界中を震撼させている、新型コロナウイルスの蔓延である。
~皇歴2020年3月31日~
私と兄の店は、皇歴2020年3月31日の午後11時35分を持って、ついに最後の営業を終えた。
まだまだ終わりが見えないコロナ禍。ウチのような既に半分傾いてた個人店には、このような不測の事態に耐えうるだけの資金力はなかったのだ。
せめて、運転資金があと250万もあれば、まだ続けることもできたのだが・・・。
「250万か。はは、まるで俺がフリスタに投資した金額だな・・・ん?」
と、ここまで考えて、私は一連の出来事があまりに話が出来すぎていることに気が付いた。
思えばこの悪夢の1年の間に私に降りかかった災い、その全ては、私に怨みを持つ何者かが、ピンポイントで私を狙い、苦しめ、陥れるために、なにかこう超常的な力でもって働きかけていたとしか今となっては思えない。
もしそうだとすれば思い当たるフシが1つだけある。
A氏とB氏である。
もしこれまでの不可思議な事象が、全てA、B両氏の怨念の力によるものだったとすれば、かなり合点はいく。
例えば最後に店の運転資金が250万足りなかった事実が、この件にA、B両氏が関わっていることを暗に示していた。元帝国兵で私の同僚だった彼らは、私のフリスタへの総投資金額を把握していたはずだ。
恐らく、私がこれまでフリスタに重課金してきたことを心底後悔させるために、丁度250万足りずに店が潰れる、そんなシナリオを用意してきたのだろう。
私の店を確実に潰す、その目的の為だけに世に疫病をバラ撒く。
それほどまでに彼らは私を怨んでいるとでもいうのか。
死してより強まる怨念の力。私への憎しみを抱えたまま、A、B両氏はフリスタ生命を絶った。そのことで両者の怨念はより恐ろしく、強大なものになってしまったのだ。そう、世界をも滅ぼしかねないほどに。
「だけど、もし、そうだとしても・・・これはやりすぎだよ」
人類の歴史は、疫病との闘いの歴史だった。これまでは人類が勝利してきたが、かならずしも今回もそうだとは限らない。
もしも人類が負けて、一つの文明が黄昏時を迎えたとき、間接的にだがそのような事態を招いた原因は、この私にあるということになる。
私の浅はかな行為が巡り巡って人類の滅亡という結果に繋がってしまい、その後悔と絶望に苛まれながら、私自身も終わりを迎える。
そんな無様な瞬間を嘲笑いながら見届けること・・・それこそが彼らの真の目的なのかもしれない。
**************
~皇歴2020年4月 現在 ~
あれからすぐ、私の兄は行方をくらまし、音信不通となった。
LINEを送っても既読すら付かない状況で、もはや生きているのかすらわからない。
もとより両親は他界しており、友達もいない。
ゲーム関連のフレンドも全て切ってしまった。
そして私自身も職を失い、病気だけが残った。
私は天涯孤独の身となり、その全てを失ってしまったのだった。
以上が、この1年の間に私に起こった悪夢のような出来ごと、後に「最悪なる災厄の1年」と呼ばれることになる、悲劇の顛末である。
「チャーリー山岡」がフリスタ界から突如として消えたのには、こういった並々ならぬ事情があったのだ。
もちろん、だからといって何も言わず急にいなくなったことを許してくれとまでは言わない。ただ、皆さんが許そうが許すまいが、どちらにせよ私が再びそちら側に戻ることはない。今の私はとてもゲームを楽しめるような心の余裕はないし、状況的にも遊んでる場合ではないのだ。
そう、遊んでいる場合ではない。
・・・のだが、もはや今の私にはあらためて職探しするだけの気力は残ってはいなかった。
「いっそこのまま何もせず、死ぬのもありなんじゃないかな」
そんなことを考えながら、1日中ぼーっとして過ごしていた。
そんなとき、ふと右手の甲のあたりに何かザラザラとしたものが当たったような、そんな感触を覚えた。
愛猫のく~ちゃんが、私の右手を舐めていたのだ。
きっとごはんが欲しかったのだろう。一生懸命、何度も何度も繰り返し私の右手を舐めるく~ちゃん。
しばらくの間、その愛らしい姿を眺めていたら、自然と私の目から大粒の涙がこぼれていた。
そう、私は天涯孤独などではなかった。私にはまだく~ちゃんが残されている。
「く~ちゃんの為にも、また明日から頑張って生きていこう」
A、B両氏の怨念は、これからも私を苦しめ続けるかもしれない。
だけど、この先どんなことがあっても、く~ちゃんだけは守ってみせる。
私はそう強く心に誓った。
■エピローグ
それから数日後、私のLINEに1本のメッセージが届いていた。
送り主は私の遠い親戚である、士郎さんだった。
「久しぶり。ブログ見たよ。・・・なんかいろいろ大変だったみたいだね。おつかれさま・・・」
「ところで 、俺もいまブログやっててさ、ゲームとかのレビューブログなんだけど。開設してすぐ月間PV数が3000万超えてさ、もう大人気なんだけど、ライターが足りないから今回増やそうと思って」
「もしまだ仕事が見つかってなかったらだけど、チャーリー君、良かったらウチでライターやらない?チャーリー君の文章、ちょっと中二が過ぎるけど、いまってそういうの逆にちょっとネタっぽい感じになってるというか、笑ってくれる人もいると思うんだ。うちの女性読者とか、きっと無理してる感じがかわいいっていってくれるよ」
「ギャラは文字単価1文字1万でどう?安いかな?まあ人気次第でもっと上がっていくし、楽して簡単に稼げる仕事だからさ。いい返事まってます」
渡りに船とはまさにこのことだ。
私は二つ返事で引き受けることにした。
人生なにが起こるかわからない。
今回、私はフリスタという怪しいバスケゲームにのめりこんでしまった結果、250万を失い、店を失い、兄を失い、病気にかかってしまった。
だけど、そのゲームに関するブログを書いていたおかげで、次の仕事に繋げることが出来た。
士郎さん曰く月間PV3000万を誇る超人気ブログらしい。
私は今、このブログで廃課金に悩む人に向けた記事を書いている。
1人でも多くのプレイヤーを、フリスタという闇のゲームから救い出すためだ。
フリスタは確かに魅力的なゲームだが、同時に人を狂わせる魔力を秘めている。
このゲームでは10万円の課金を微課金とみなす異常な価値観がプレイヤー間で共有されていて、プレイヤー数が少ない割に総投資100万超えの廃課金プレイヤーがあまりに多すぎる。
また、バスケゲームなのに謎の帝国軍という国家が設立され、バスケを通じて世直しを目論む妙な輩が生まれるなど、その異常性は他のオンラインゲームと比べても際立っている。恐らくこのゲームのプレイヤーは皆なんらかの洗脳状態にあるのだろう。
当然、このような異常事態をただ黙って見過ごすような私ではない。
この1年、本当にいろんな事が起きて、一時は生きていく上での目標も見失いかけたけれど、今は違う。
3on3FreeStyleという名の悪の帝国軍の打倒。
それこそが私の新たな目標である。
今回、私はフリスタというゲームに関わってしまったことで全てを失った。だからこそ二度とこのような悲劇を繰り返させたくないのだ。ゆえに私は闘いの道を選んだ。
そして、もしこのフリスタという巨悪の粛清が叶えば、この1年に渡り私を悩ませ続けたA、B両氏の怨念の問題についても、根源を断ち切ったことで自ずと解決するだろう。
正直、途方もない話だが、きっとやってみせる。
**************
今日も私は一心不乱にキーボードを叩く。これが私の新たな戦い方だ。もうバスケットボールは持たなくなってしまったけれど、本質は何も変わらない。
フリスタという名の悪の帝国軍を倒し、真の平和を取り戻すその日まで、私は戦い続ける。そして最終的に必ずやこの戦いに勝利し、オンラインゲーム界に大いなる変革をもたらすだろう。
なぜなら私は、キセキを呼ぶ漢と呼ばれた正義のレジスタンス。
稀代の革命家チャーリー山岡なのだから。
FIN
フリスタとeスポーツについて
〜皇歴2019年 春〜
1年ぶりの公式大会が4月に開催された。・・・が、周知の通り我が帝国軍はまさかの大惨敗を喫してしまった。常勝を義務付けられている我々にとっては目を背けたくなるにわかに信じ難い結果だが、しかし事実は事実として重く受けとめるべきだ。そして二度と同じ過ちを繰り返さぬために、帝国の頭脳にして総戦術指揮官たるこの私が自戒をこめつつ改めて敗因を分析してみたい。
帝国弱体化の要因はいくつか考えられたが、旧EnjoyD帝国時代の五賢帝たちの離脱、中でも晩年のエース格たるA氏をあのような「不幸な事故」で失ってしまった影響はやはり大きい。しかしながらそういった戦力ダウンの部分はあらかじめ計算に入っていたし、それを踏まえた上で我が帝国軍の第2の頭脳たる最新鋭マザーファックコンピューター、通称「C.H.A.R.Iシステム」も優勝確率99.999998%を示していたのだ。
これは表面上の戦力ダウンだけが敗因ではない。そう確信した私は、ひとまず大会の動画を全て視聴しなおし、選手たちの一挙手一投足まで細かく注視した。すると、ふとしたことである違和感に気付いてしまったのだ。
我が帝国兵たちのトレードマークとでも言うべき黒きオーラ、すなわち「暗黒闘気」が、選手たちの体から全く発せられていないのである。
改めて旧EnjoyD帝国時代の過去の動画を見直すと、薄っすらとだが選手たちから黒いモヤのようなものが出ているのが見えるはずだ。(もし見えぬ者がいれば、その者は即ち無資格者であり残念ながら一生涯に渡り帝国臣民にはなれない)それこそが暗黒闘気であり、全ての帝国兵たちの力の源泉であった。
その暗黒闘気が知らぬ間に我々の体から綺麗さっぱり失われてしまっている。何故そのような事態に陥ってしまったのだろうか?
実はその理由についておおよそだが見当はついている。周知のとおり現在の帝国、即ち「超神聖かっぺダンク帝国」は旧帝国時代のような悪の軍団ではなく、「愚かなる民衆を正しく導くために活動する善なる組織」として転生を果たしている。
その転生の過程、つまり闇の者から光の者へと生まれ変わる過程で、同時に暗黒闘気までもが失われてしまったのだろう。
そうと分かれば話は簡単だ。次回の大会に向けて我々がすべきこと、それはもちろん暗黒闘気を再び我々の手に取り戻すことだ。しかしそのために以前のように心まで悪に染まってしまっては元も子もない。暗黒闘気に取り込まれるのではなく、逆に取り込み利用する。孫悟空親子がセル戦を前にスーパーサイヤ人化を常態化させていたが、あのイメージだ。おそらくこの道は困難を極めるだろうが、選ばれし者たる我が帝国兵たちなら、きっとこのような試練も乗り越えてくれるはずだ。
*************
さて、少々前置きが長くなったのでそろそろ本題に入るとしよう。
銀田チームの勝利で幕を閉じた公式大会だが、事前に懸念されたような大きなトラブルもなく大会運営を完遂した点についてはジョイシティ社を評価したいと思う。1年前はそれすら満足に出来なかったのだからこれは大いなる進歩である。
そんなジョイシティ社だが、嘘か真か、彼らはいずれフリスタを「eスポーツ」化していきたいう野望を抱いているという噂を小耳に挟んだ。
確かにフリスタは見た目的にはカードゲームなどより余程スポーツ然としているし、表面だけ見ればまさに「eスポーツ」の名に相応しいゲームにも見える。
ならば将来的にフリスタはeスポーツ化が可能なタイトルなのであろうか?
答えはもちろん「NO」である。
当然ながらフリスタがeスポーツを名乗れるわけがない。むしろこのゲームの存在そのものが全ての「スポーツ」に対する冒涜である。
その最たる理由はもちろん能力カードシステムにある。キャラのステータスを課金によって大幅に上げることができるこのシステムは、現実のスポーツ界に例えると明らかに「ドーピング」に相当する。つまりこのゲームはドーピング行為を協会側が推進しているようなものであり、前代未聞である。
課金ゲームがeスポーツ扱いされる、それ自体は今の時代、別段めずらしいことではないが、例えばハースストーンやヘンタイストーン等のようなカードゲームにおいて、課金要素はあくまでも「デッキの幅を増やす」ために用いられるものであって、間違ってもカードのスタッツ、つまり能力値そのものを上げられるような事があってはならない。もしそんな事が出来てしまったらその時点でゲームバランスは崩壊するし、なにより金持ちが圧倒的に有利な仕様は公平性を著しく欠いておりスポーツ精神そのものに反する。
ゆえに「キャラの能力値を金で買えない」こと、これこそがeスポーツを名乗る上での最低条件であり、端的にフリスタはその最低条件を満たしていないのでeスポーツを名乗れるわけがない。もし名乗ったところで世界中から失笑を買うだけである。
そしてそういった状況下であるのは流石に民衆たちもわかっているようで、中には「大会だけはあらかじめ決まった能力カードを選択するルールにしたら公平なのではないか?」といった意見を持つ者もいるようだ。
しかしこれは如何にも愚民らしい浅はかな発想だ。もしそうであるならばあらかじめ課金ガチャの画面に「当てたカードは公式大会では使用できません」と表記しておかなければ詐欺でしかないし、大会でも使える、むしろ大会で勝つためにと思って課金した廃課金ユーザーたちが黙っちゃいないだろう。なにより課金が無意味というイメージがつくのはジョイシティ社にとって非常に面白くない事態なのだ。
とはいえせっかくの公式大会だ。運営としてもある程度の公平性は獲得したい。そこで無(微)課金ユーザーと廃課金ユーザー、双方がある程度納得しそうな丁度いい着地点を模索した結果、運営は期間限定の訓練権を大会で使えるルールへと(おそらく大会直前に)変更した。確かにこれにより課金力による能力値の差は、廃課金者たちの課金の意味を無に帰すことなく「ある程度」縮めることが出来た。
しかしあくまでもある程度でしかない。依然として不平感は残るし何だか歪んでいる。全ての物事に共通するが、スタート地点を間違えた時点で軌道修正には限界があるのだ。
さて、これまでフリスタがeスポーツになれない、その最たる理由がまるでドーピングを推進しているかのような能力課金システムにある事を語ってきた。しかし課金システムの問題というのは多くの民衆にとっても比較的わかりやすいポイントであり、これをわざわざこの私が語ることに今更感はあったかもしれない。
しかし、驚くべきことにフリスタがeスポーツになれない理由はその課金システムとは別にもう一つ存在する。
フリスタがeスポーツを名乗れないもう一つの理由・・・それはそもそもゲームのジャンルとしてフリスタは「スポーツゲーム」ではないからだ。
フリスタというゲームを形容するに相応しいジャンル名、それは「ハンティングアクション」であり、更にいえば「イジメエンターテイメント」である。
ただでさえテクニック、ゲームに対する経験値の面で不利であり、味方同士で連携を取ることも難しい野良の初心者を、固定を組んだ古参ユーザー達が能力値で圧倒的に勝るキャラを使い、味方同士で意思疎通しながら彼らを蹂躙していく様は、はたから見て狩りの現場であり、もっといえばイジメでしかない。
なぜジョイシティ社は頑なに固定は固定のみでのマッチングとなる仕様にしなかったのだろうか?一応クラブ対抗戦モードも存在するが、日時限定でイベントなどもこなせない不便な仕様もあり形骸化して久しい。いずれにしても固定マッチについてはユーザーの意思に任せるのではなくシステムで強制すべきだ。
そしてそういったシステムの構築を怠った結果、固定側が「雑魚狩り楽しいぜヒャッハー!」と思っていようが、逆に「雑魚ばかりでつまらないな」と思っていようが、はたまた「なんか申し訳ないな」と思っていたとしても、そういった個々人の思惑とは無関係に、結果として強烈なイジメ空間が成立する。
そしてイジメられた側は仕返しとして2chの晒しスレを学校裏サイト的に駆使することで鬱憤を晴らしているので、ゲームの過疎具合の割に晒しスレは常時フル稼働しており、もはや晒しスレこそが本スレのような状況に陥っている。
このような末期的な状況に、この私をもってしても流石に頭を抱えておる。繰り返すが我が新帝国軍の新たなる使命は愚かなる民衆を正しく導き、フリスタ界に蔓延る悪意の連鎖を断ち切ることにある。しかし我々の力をもってしても、限界はあるのだ。
フリスタは3on3のゲームであり基本的には協力プレーを楽しむものだが、実際にそれを実践すると色んな人が不幸になるようにできている。この腐りきった支配構造を根本から破壊するためには運営、即ちジョイシティ社の協力が必要不可欠だ。
ジョイシティ社がフリスタに固定マッチを採用しゲームを作り変え、その後に我が帝国が改めて民衆の意識改革を促す。ジョイシティ社と帝国のコラボレーションこそが、フリスタ界を救う唯一の最適解である。
ゆえにジョイシティ社はフリスタをeスポーツ化したいなどといった大それた過度な妄想を抱くのを即刻やめるべきだ。現状のフリスタ界はドーピングとイジメが横行しており、スポーツマンシップとは程遠いのだから。まずはフリスタからイジメ要素を廃することを目標に尽力する。そこから始めていただきたい。
しかし・・・正直なところそれすらも些か遅きに失した感は否めない。固定マッチなどは本来サービス開始当初、あるいは遅くともクラブシステム導入までには搭載されてしかるべきものであり、仮にいまさら搭載されたところで過疎化の影響から碌に機能しない可能性が高い。
ジョイシティ社と帝国による世界の救済。それが叶わぬというのなら、我が帝国としては最後の手段を取らねばなるまい。即ち「粛清による世界の浄化」である。
新規プレーヤーの参入を極力避ける。ただそれだけで粛清は達成される。新規という名の新たなる生贄の供給を断ち、現存のプレーヤーは我々廃課金固定が狩りつくしていくことで人は枯渇していく。するとほどなくしてサービス終了のお知らせが掲載され世界の浄化は達成されるであろう。
しかしそれは職務放棄ではないかと疑問を持つ者もいるかもしれない。確かに我が新帝国軍は民衆を正しく導き世界を救うことを目的としている。が、ここで言う「民衆」とはフリスタ民だけのことではない。「フリスタ民を含む全世界の民」のことである。もしこの世界にとってフリスタという存在が毒にしかならないのであれば、我々は全世界の民衆のためになんら躊躇なくこのフリスタ界を粛清する所存だ。
とはいえ最後の手段の行使にはまだ些か時期尚早だ。アプデの予定もあるというし、いましばらくはフリスタ界とジョイシティ社の動向を見守っていこうと思う。しかし今後もこの腐りきった支配構造が破壊される見込みがないとの結論に至った時、改めて我々がこの世界に対し手を下すことになるだろう。
・・・審判の時は近い。
FIN
P.S.
といった感じで今回のブログを完成させたのが2日前。そろそろ今日あたり公開しようかなと思っていたら、6月からランクマッチが導入されるとの速報が。おかげでブログ後半部分で行なったマッチングシステムへの批判の大部分は無意味な感じになった。
私がブログを使ってジョイシティ社へのネガキャンを試みれば、ジョイシティ社もまたこのブログへのネガキャン的なアプデをして対抗する。やはり帝国とジョイシティ社は相容れぬ存在ということか。
まあいずれにせよまだランクマの仕様もわからないし、はたして今回指摘したような問題が解決されるかも不明なので、とりあえずブログはこのまま公開します。つーか8時間かけて書いたものを没にしたくないんや!
兎にも角にも、ひとまずジョイシティ社が民衆に歩み寄りの姿勢を見せ、(たぶん)イジメゲームからの脱却を図ろうとしている点を高く評価します。粛清の脅威からは幾分遠のいたと考えてよいでしょう。
あと今回の内容とは全く関係ないけど、たまに晒しスレで「チャーリーはBAN経験者」みたいな書き込みを見かけることあるけど完全にデマだからそこは訂正させろ!
おそらくだいぶ前にせんと氏がツイートしたネタ画像(*の大きさからして違うんだが)を真に受けちゃったピュアボーイがいて、そこから伝承されていったのだと思うが、いまどきのキッズはネタに対して「これはネタである」といちいち説明せにゃわからんのだろうなあ。
嘘を嘘であると見抜ける人でないと(掲示板を使うのは)難しい。
よって今後も陰口については不問とするが嘘は否定していきます。
尚、せんと氏とはこの名誉毀損の件に関して係争中である。
第2部 再生編 〜復活のチャーリー 〜
ある日の晩、私は夢を見ていた。
自分が再びバスケを・・・フリスタをしている夢を。
**************
〜皇歴2019年初頭〜
それまで2年近くに渡り人々を震え上がらせてきた、かの悪名高き帝国軍を長き死闘の果てに見事に討ち滅ぼし、その宿縁に終止符を打った私は、直後に表舞台から忽然と姿を消した。
「もう大丈夫」
帝国軍の力と恐怖による支配から解放され、真の自由を手に入れた民衆たち。彼らならきっと、平和で優しい理想の世界を創り上げてくれる。そう確信した私は、これ以上のこの世界への介入は野暮であると判断し自重することに決めたのだ。
こうして己の使命を全うした私は、これまでの闘いの傷を癒すべくしばしの隠居生活を謳歌していた。そうして、とても優しくてゆったりとした時間を過ごしているうちに、いつしかフリスタ界きっての革命家として一世を風靡した、あの激動の日々の記憶も自然と薄れていった。だが、きっとこれでよかったのだろう。
・・・そう思っていた。
〜皇歴2019年春〜
無期限の隠居生活に入ってから早3ヶ月近くが経過したあくる日の晩、私はとある夢を見ていた。その夢の中で私は楽しそうにバスケを、フリスタをしていたのだった。ふと目を覚ました私はそのような夢を見てしまった原因について思慮を巡らせていた。
夢とは深層心理を反映したものに他ならない。・・・ならば私は本心ではあの世界に戻りたいと思っているのだろうか?
私は私自身の真の気持ちを確かめるべく、久々にフリスタにログインしつつフリスタ関係のSNSや匿名掲示板のスレ等に一通り目を通し、そして同時にその目を疑った。
「なんだこれは・・・」
帝国の支配という暗黒の時代を脱してもなお、フリスタ村のツイッターでは相も変わらず些細なことでのいざこざが日常茶飯事的に巻き起こっていた。
また、ある人間はツイッター上では温厚で誰とでも分け隔てなく接する好青年キャラを演じつつも裏では晒しスレにて気に入らない人間を片っ端から嬉々として晒しあげていき、一方の晒された側の人間もまた、効いてないアピールをしつつ2chがいかに愚かな場であるかを説きながらも結局は自分のことを晒したと思しき人物を晒し返すという、まさに悪意の連鎖ともいうべき地獄絵図がそこでは展開されていた。
私は、こんなものを見るために命がけで帝国と闘ったのではない。やはりどこまでいっても民衆は豚でしかないのか。
「まるで成長していない・・・」
私は、帝国討伐後のフリスタ界の復興という非常に大事なミッションを、このような知性も品格も持ち合わせていない愚民どもの自主性なんぞに任せてしまった己の愚かな判断を悔いた。
しかし、私が落胆を覚えたのは何も民衆に対してだけではなかった。この短期間の間にピザカードとPバフという2つの課金要素を追加するジョイシティ社の相も変わらぬ拝金主義の姿勢にもまた心底辟易とさせられた。
このナメック星編もビックリの超インフレ展開を前にして、私がこれまでフリスタに投じてきた200万はもはや実質40万くらいの価値しかなくなっており全くもって理不尽だ。
そしてそんな末期感溢れる新規軽視の集金路線を突き進みながらもこの期に及んで新キャラを追加し大会も開こうとしている。果たして運営はフリスタを延命したいのかそれとも終わらせたいのか。もはやジョイシティ社、その存在そのものが矛盾していて、この世界の歪みそのものと言えよう。
もはや愚かしさもここに極まった。
この世界がただ己の欲望に身をまかせることしかしない下衆な愚民共のみで構成されていることは既に疑う余地もない。
私は静かに悟った。
この腐りきったフリスタ界には、やはり私のような絶対的な指導者が必要である、と。
そして同時に昨晩私が見た夢についてもあらためて再考してみたところ、ふとその真相に気づいてしまったのだ。
あれはフリスタに復帰したいという私の深層心理の現れなどではなかった。恐らく私を生み出した創造主たる神々か、あるいはそれに近しきものたちが「夢」という手段を通して私に教えてくれていたのだ。まだお前の役目は終わっちゃいないと、お前にはまだあの世界でやり残したことがあると。
***************
こうして私はフリスタへの復帰を決心した。
もちろんゲームを楽しむためなどではない。
破壊と再生-----それこそが元来私に与えられし使命であった。
しかし私は帝国の打倒・・・すなわち破壊こそ行なったが、その後に世界を正しい形で再構築させるという責務を怠たった。だから私は改めて民衆を正しく導いていくことで、フリスタ界を現状の「悪意に満ちて欲望に従順な豚の世界から」本来あるべき「平和で他人に優しくなれる穏やかな世界」へと変えていかねばならぬのだ。
で、あるならば、ここから先は実際にどのようにして民衆を導いていくか、その手段について改めて考えねばなるまい。
力による支配でディストピアを構築し強制的に民衆を従わせるのが最もお手軽で簡単ではあるが、それでは過去に帝国軍がしてきたことと何ら変わりはない。
何より恐怖政治による抑圧では民衆の心の奥底にある悪意そのものは、あくまでも表面上隠されるようになるだけであって、決して綺麗さっぱり消えて無くなるわけではなく、これでは根本的な解決には至らない。
私は出来る限り平和的で、それでいて効果的な手段はないかと模索し、しばしのあいだ思慮を巡らせた。そしてその結果ある結論へとたどり着いた。
それは
「チャーリー山岡というプレーヤーのその類稀なる頭脳と気品に満ちた品格、それらを試合中に敵味方問わず見せつけていくことで啓蒙していく」
というものである。
この世界、強いだけのプレーヤーならごまんといる。しかし同時に美しさを兼ね備え、試合中のキャラの一つ一つの所作からいちいち育ちの良さが滲みでる、そんなプレーヤーは私をおいて他にいないだろう。
当然、民衆は私というプレーヤーに憧憬の念を抱くようになり、同時に私のようになりたいと願うはずだ。そしてそうなればその思想までもが自然と私に同調していく。
いささか地味で即効性に欠ける手段ではあるが、しかし着実に人々の意思を変革していける、十二分に試すに値する手段であると考えている。
さて、復帰後の大まかな方針は決まった。後は実践あるのみだ。
****************
私は、前回のブログの最後に、復帰の条件として「帝国軍をも超える巨悪の台頭」を挙げていた。だがしかし、もとより巨悪は台頭していたのだ。それは民衆と運営、双方の悪意の集合体のようなもので、目に見えずとも非常に厄介な、この世界の歪みの象徴とでも言うべきものだ。
そして私はこれを武力によって対処しない。あくまでも私が持つ唯一無二のカリスマ性を以って悪意を善意へと変革させていくのだ。これは血で血を洗う抗争に終始した過去の帝国軍との闘いとは明らかに異質である。私は闘うために戻るのではない。・・・人々を救う、その為の旅。これはいわば世界救済の旅であると言えよう。
またもや歪みきってしまったこの世界。しかしついにあの漢が・・・救世主チャーリーが帰ってくる。世界は私の手によって再び破壊され、然るのち再生されるであろう。
<ファイナルミッション> 帝国補完計画を発動せよ!!
オンラインゲーム関係のSNSを利用していれば、フリスタに限らず様々なゲームのギルド脱退報告を目にする機会は多いと思う。そしてそこにはお決まりのように「最高のクラブでした!」的な謝辞が述べられており150%美化された美談が綴られている。
しかし私を含む一定以上の知的生活者からすればそのような嘘と欺瞞に満ちた噴飯ものの妄言を見るたび失笑を禁じ得ないだろう。もちろんリアル生活の都合で辞める場合等は除くが、そうではない場合、さらに言うとやめた直後に別クラブに移籍しているケースなどは、その脱退者は元いたクラブに不満があったから辞めたに決まっている。
もちろん大前提としてクラブを辞めることも、移籍することも別に悪いことでもなんでもない。むしろ所詮ゲームなんだから合わないと思ったら自身の負担になる前にさっさと辞めるべきだと私は考えている。
そう、悪いことではない・・・にもかかわらず人々はわざわざ「最高だった」などと「優しい嘘」をつき表面を取り繕おうとする。なぜか?その理由自体もわかる。クラブを辞めてからもそのゲームを続けていくのであれば、誰しも余計な揉め事や人間関係の悪化は極力避けたいものだ。
しかし「そのゲームを続けない」という選択を取るのであれば、やめるついでにぶっちゃけた本音トークをしちゃっても良いのではないか?私はそのような迷惑千万な立ち回りをする身勝手極まりないクソ野郎の出現を密かに期待していたが、今日に至るまで現れてはくれなかった。ならば私がその役目を果たしてみようではないか。
帝国きっての参謀とまで呼ばれた、あのチャーリー山岡が帝国をやめる。ご察しの通り円満にやめたわけじゃないし、悔しい思いもある。このままでは地縛霊化は不可避である。ならばせめて、なぜそのような経緯に至ったのかを事細かに記し、立つ鳥跡を濁しまくって憂さを晴らし書き逃げして気持ちよく終わろうと思う。
そもそも悪の帝国軍と闘う正義のレジスタンスを標榜していた私が帝国軍に参画した最大の目的は帝国を内部から変えるためである。が、それと同時にその目的が達成できなかったときには当初の予定通り滅んでもらう必要があった。だから私は帝国の更生を促しつつも、あらかじめ「更生できなかった」ケースをも想定し、様々な策を凝らしてきた。
そしてその代表的な施策として「帝国タカ派の立場をとり続けること」が挙げられる。
帝国タカ派とは「帝国兵たるもの実力は勿論のこと、人並み以上の知性と品格を身につけておくべし」というクソみたいな思想である。
この手記を読んでいる人の中に、勇気を振り絞って帝国入りを打診してみたにもかかわらず断られたかわいそうな人がいたり、あるいは入れたはいいがそれまでに妙に時間を要した人がいるとすれば、その原因の何割かは「品格不足」だのと理由をつけて私がその人物の帝国入りを反対していたからである。
なぜそのような立ち回りをする必要があったのか?その理由は大きく分けて2つある。
理由その1。
「山岡への依存度を上げること」
最大の目的が帝国の更生である以上、この私が陛下の側近という立場から帝国全体を掌握し、事実上の支配者となる必要があった。その為には有望な人材はむしろ枯渇している方が望ましい。
そしてちょうど同時期にbf、まるみ、せんと等の帝国を代表する五賢帝たちがいなくなり、他の帝国兵たちも飽きたりしてフリスタをしなくなっていった。すると帝国内での私というプレーヤーへの依存度はごく自然な流れで相対的に上がっていき、私の思惑通り「チャーリー山岡」はその立場を強めていくことになった。
ここまでは「帝国内における山岡への依存度を上げたい」という当初の私の目論見通りの展開だった。そうして帝国兵が枯渇していった結果、帝国内での募集に私が手をあげないとなかなか3パが成立しなくなっていったのだが、ここで想定外の事態が発生する。
このとき既に私もフリスタに飽きていたのだ。
もう全くもってフリスタがしたくないし見たくもない、というわけでもなかったのだが、少なくとも以前のような、毎日のようにフリスタがしたいという欲求はすでに消え去っており、週2.3回やれればいいし疲れているときは極力したくないみたいな感じになっていた。
とはいえ私がクラブ内募集に手をあげないと固定が成立せず漂流してしまう可能性は大。それはそれでなんだか気の毒だと思ってしまい、そういったことが無視できない性質である私は、その低い気力にムチを打ち極力クラブ活動に参加するようにしていた。
しかしそこでもまた追い討ちをかけるように私にとって更なる想定外の事態が発生することになる。
まるみ君を筆頭とした五賢帝たちがいなくなり帝国全体が弱体化したことで、残った五賢帝たち、中でも特に優秀だったA氏(仮)は、所詮は「裏五賢帝」でしかないこの私「チャーリー山岡」に、更なる上の五賢帝クラスのパフォーマンスを要求するようになっていたのである。
あくまでも山岡というプレーヤーは帝国軍の中では頭脳戦に特化した指揮官タイプのプレーヤーであり、戦士としても一般的にみれば優秀な部類ではあるものの、帝国兵の水準からすればそこまでの戦闘力を有しているわけではなかった。イメージ的にはルルーシュの知能を有したクリリンみたいな存在である。
そのクリリンにいわばスーパーサイヤ人たる五賢帝クラスの活躍を期待したところでそれは無謀というもの。しかしA氏はそんなクリリンたる私に「なぜこの程度のことが出来ないのか、なぜお前はスーパーサイヤ人になれないんだ」と叱責するようになっていった。
そもそもフリスタ自体をあまりしたくないのに、なんとなく彼らがかわいそうだからという理由で仕方なく参加している私に対するこの仕打ち。まあそんな事情はA氏には関係ないし、頼まれてもいないのに無気力状態でプレーする私に落ち度がある。さらに言えばそもそも帝国の人材が枯渇したのは私のタカ派としての立ち回りが多分に影響した結果であるので言わば因果応報、自業自得である。
それでも、身勝手を承知で訴えたかった。あるいは陛下配信などでもそのシーンを目撃したギャラリーもいるかもしれないが、ある時期から、私が何かヘマをしてA氏に「こういう風にすればいい」と教えられた後「理解したならちゃんと返事をして」「わかりましたか?」と叱られ、そこで私がはっきりしない煮え切らぬ返答をして更に叱られる、という毎度お馴染みの流れが繰り返されるようになっていたのだが、なぜ私がそのような態度を取っていたかわかるだろうか?
それはそこで「はい!」とハッキリした返事をしてしまうと、その瞬間に2人の間で「上下関係」が成立してしまうからに他ならない。
私は、クラブ内で自分より上手なプレーヤーには私にとって「頼れる仲間」であり、あくまでも対等であって欲しかった。しかしA氏は私の「先生」であろうとしたのだ。
いつしか帝国内においては「先生役」と「生徒役」という2つのロールが割り当てられ、私は「出来の悪い生徒」というスクールカースト最底辺の役割を演じる羽目になっていった。
元々は帝国の支配層となる、言わば「帝国王に、俺はなる!」と意気込み、カーストの頂点を目指していたはずだったのに・・・こんなはずではなかった。
カースト最底辺の立ち位置が確定した私には当然ろくな帝国ライフが待ってはいなかった。
「山岡さんは他人の配信をみないから上達しない。ちゃんと見て学びなさい」とA氏に言われて仕方なく陛下配信を見てみると、そこでは幾度に渡り「今のプレー、山岡さんだったら〇〇(もっと下手なプレー)してたよなw」みたいな陰口が叩かれていてひどく傷ついたことがあった。
また、あるときは苦手な並列処理が要求されるゲームに深夜から早朝に渡って無理矢理つきあわさせられて、私が役に立たないことなど最初からわかっていたはずなのに、チームのお荷物であることを朝まで数時間に渡って延々と罵倒され続けるなんてこともあった。
このようにして帝国からの、とくにA氏からのパワハラはとどまる所を知らなかったが、ではやはり私は「A氏のことをすごく憎んでいたのか?」というと、少なくともその時点ではそうではなかった。よく某所に書きこまれているような「山岡とA氏の不仲説」は実は必ずしも正しくないことを明記しておきたい。
というのも、私は私でA氏を利用している部分が多々あったのだ。私が2年近くもフリスタを続けた最大の理由は「他ゲーより勝てるから」であり、より正確には「勝たして貰えるから」であった。基本的にA氏と組んでいれば私は隅っこの方でウロウロしているだけで勝手に相手が死んでいた。
A氏の口うるさい部分については、私自身に「ラブコメの主人公のような突発性難聴を抱えている」という適当に20秒くらいで考えた設定をつけ加えることで回避をはかった(あまり回避できてなかったが)。結果、私はA氏と組むことで銀田などをはじめとした全ての強固定に恐らくトータルで勝ち越していたし、ある程度良い思いもさせて貰っていた。
このように、基本的にA氏と組むことには私にとって一定のメリットがあり、またA氏にとっても「山岡という気軽に罵倒してストレス解消に利用しても文句を言ってこない便利なアイテム」を手に入れることができ、ある意味では双方にwin-winの関係、言わばガス生命体アイのような欲望の共依存とでもいうべき関係が築けていた。だから私はA氏のことは当然のようにクソ野郎とは思っていたが、言われている程には不仲ではなかった。
むしろA氏以上に私を悩ませていた存在がある。それがB氏である。
B氏を評するのは非常に難しい。一般的に約8割の人がクソ野郎と評するであろうA氏と違い、B氏はむしろ8割の人が「良い人」と評するであろう人物である。A氏を「わかりやすい悪」とするなら、B氏は「わかりにくい悪」であり、いわば対チャーリー専用兵器とでもいうべき存在であった。
そんなB氏を私がクソ野郎だと思った理由、それはB氏が私という人間を常に見下していたからである。
私とB氏は、所詮リアルで会ったこともないよく知らない間柄であるはずなのに、B氏は私という人間をフリスタプレーヤーとしては勿論、リアル社会に生きる1人の人間としても何故だか常に見下している感じで接してきて、私のことを34歳で真性童貞の魔法使いと勝手に決めつけ哀れんでくれていた。
過去に五賢帝会談でリアルの顔を他の五賢帝に晒したこともある私からすれば、B氏が考えているほど自分という人間、そして自分の人生がそれほど悲惨なものだと思っちゃいないし、別に自信がないわけでもない。例えば某元五賢帝にはカナダでの生活でオカズが不足したら私の顔写真を使用して良いと許可したほどだ。
むしろ私からすればフリスタプレーヤーとしてのB氏は他人を馬鹿にできるほど大して上手いとは思えなかったし、またリアルの生活についても、顔の1つも晒したことがない(彼は五賢帝ではないので五賢帝会談に参加したことがない)B氏から発せられる、某AV男優よりセクロスが上手いだとか、とある姉妹と3Pに発展しただのという自慢話は非常に空虚に感じられたし、社会的立場においても互いの職業などから推測すると年収なんかは私の方が確実に上だろう。
さらにB氏は今どきの若者には珍しく結婚至上主義なきらいがあって「30代で独身とかありえない」といった、私だけでなく全フリスタプレーヤーの8割くらいを敵に回すような、昭和家父長制の権化みたいな古い思想を嫌味たらしく私に聞かせてきたが、それについても私は自分の周囲にいる同世代の既婚者の中で今現在、幸せそうに見える人なぞ片手で数えるほどしか知らなかったので、いまいちピンとこなかった。
とにかくB氏については思うことはたくさんあったが、あまり喧嘩もしたくなかったし、帝国には団員同士のマジ切れはご法度の不文律があったのでずっと黙っていた。
そして黙っていた結果、オレスゲー!それに比べて山岡さんはなんかかわいそうですねwみたいな話をことあるごとに聞かされて、実に不愉快であった。
B氏にとって山岡という存在は、自分にどんな不幸が訪れたとしても確実にこいつよりはマシだなと再確認し、安心できる。そのためだけに存在する、精神的な意味でいつでもレイプしていいダッチワイフのような存在でしかなかったのだろう。その証拠に、私はpsnのパーティー上でB氏と2人きりとなっていたとき「僕はチャリさんのこと嫌いですよw」と、こうハッキリと言われている。
陰口などではなく、思っていることを本人と面と向かってハッキリ言える素晴らしい人物、などとは私は思わない。
「これほど過激なことを言っても相手がチャリさんなら怒らないだろうしさして問題にならないだろう」この言動の裏にはそういった浅ましい計算と思惑がその根底にあるからだ。
私が嫌いなのは仕方ないけど、ならば極力私に絡まないでくれ、一緒に遊ぼうとしないでくれ。私は心の中でそう願ったが、そんな願いもむなしくB氏は事あるごとに私に絡んできて、そのつど私を舐めきったような言動を繰り返した。
おそらく嫌いだからこそ馬鹿にして楽しむために近づいてきたのだろう。そのようにして、私の存在は常にB氏から見下され、精神的な意味で凌辱され続けた。
一応帝国にはA氏やB氏以外の人材もいたのだが残念ながらフリスタへの意欲は低く、私が帝国でフリスタをするときの98%は最低でもA氏かB氏のどちらかと組むしかない状況になっていた。
ゆえに私はそういった最悪な状況下の中でまだ比較的ベターな選択をすべく「A氏と違い組むメリットが見当たらない無いB氏とはなるべく組まない」ようにしていた。A氏もB氏も、ある時期から私がクラブ内募集をせずに3人目に手をあげる機械と化していたことに疑問を呈していたが、何のことはない。ただ単にB氏を避けていたのだ。
しかしそれでも回避に失敗してしまうことはあったし、なにより最悪なのはA氏B氏との3パである。
A氏が私のプレーを叱り、少し私が納得いかず不満そうにしているとB氏は「さっきのは山岡さんの態度が悪いよ」とすかさずA氏を立て、私にダメ出しした。基本的にB氏は私と同じく「生徒」のロールが与えられていたが、同時にA氏の子分であり腰巾着のような存在だったのだ。
以前に某氏がB氏のことを「プライドが非常に高い山岡さん」と評していたが、なるほど的を射ているかもしれない。
まあともかく、このようにしてA氏並びにB氏による私に対する陰湿な嫌がらせは多岐にわたって続いていった。
ゲームに200万もかけるという愚を犯したのだから、せめてそのぶん通常よりも楽しいゲームライフが待っていて欲しかった。しかし、現実にはある人間からゲーム中パワハラを受け続け、また別のある人間からは人として見下され馬鹿にされ続ける。そんな自分の人生がなんだか哀れで不憫でただただ悲しかった。
あるいは「そんなんだったらさっさと帝国をやめればよかったのに馬鹿だなあ」と思うかもしれない。しかしこのタイミングで辞めるという選択は、私にとって非常に重たいものなのだ。
なにせ帝国兵は枯渇しきっている。現状の主力たる私がやめてしまえば、もはや帝国は終わり。おそらく陛下は帝国を潰す選択をしてしまう。事実上、私の肩には帝国の存亡がかかっていたのだ。だから無責任に逃げ出すことなどとてもできなかった。
B氏をできる限り避けながらA氏とは我が固有スキルたる突発性難聴を駆使してうまくやっていこう。そう覚悟を決め、実際この数ヶ月はごまかしごまかしといった感じだが何とか我慢してやってきた。
A氏はあまりに不器用で空回りしてはいたが、もはやパワハラの域だったその口うるさい指導も、A氏なりに帝国を強くしたいとの思いがそうさせていた。なにより彼はある意味では平等だった。
A氏がパワハラを行なっていたのは私に対してだけではない。帝国内で生徒のロールを与えられた人間すべてに同様のことをしていた。私にのみ酷い態度を取り、A氏というボスキャラに寄生する雑魚モヒカンのような立ち回りをするB氏よりはまだ、あくまでも相対的にだが好感が持て、その人間性が理解できたのだ。
であれば私が真に憎んでいた人物、それはよく某所で書かれているようなA氏ではなく、B氏だったのだろうか?
それは少なくともその時点ではそうだった。
まだA氏とならやっていける。パワハラを受けても我慢してA氏についていこう。なにより私の肩には帝国の存亡がかかっている。
私はそう覚悟を決めた。
しかしここにきて、そんな思いを嘲笑うかのように、更に重い現実が私にのしかかる。
まだつい先日のことだが、我が盟友ジェムス(jamtetojam)が一足早くフリスタをやめてしまったのだ。
皇歴2017年夏、当時の私は誰からも目をかけてもらえず、野良専の生活にも限界を感じていて、もうフリスタをやめようと本気で思っていた。そしてまさにやめてしまうその寸前に私に目をかけ、拾いあげてくれた恩人、それがジェムスである。
その後カズさんと共に固定を組んで当時としては珍しかったスクダ戦法「かずりーん」を開発し、そのわからん殺しを武器に出場したデブス杯を勝ち取ったことは、非公式大会とはいえこれまでゲームの大会とつくもので優勝したことがなかった私にとっては忘れられない一生の思い出である。
そしてそのジェムスさえもがフリスタをやめてしまった。彼もまた、帝国では「生徒」のロールが割り当てられ、A氏から指導という名のパワハラを受け続け、私に度々不満を漏らすようになっていた。そしてついには限界を迎え私より一足先にやめてしまった。
この現実に直面した私は、自分が今まで積み上げてきたものがガラガラと音を立て崩れていった気がして、目の前が真っ暗になった。
もちろんいつかはゲームは終わるし、そうでなくともリアルの都合などでお別れの時はくる。ただ私はジェムスとだけは同じ別れるにしても円満な感じで笑ってお別れしたかったのだ。
私は、A氏の私に対するパワハラ以上に、ジェムスをあっさりと死に追いやったことへの怒りに打ち震え、同時にA氏についていこう等という思いは、このとき既に完全に消え去っていた。
それどころか自分の中で、あるドス黒い感情が芽生え急激に育っていくのを感じた。そう、帝国への復讐心である。そして同時にふと気付いてしまった。
「これはL5の帝国症候群だ・・・」
帝国症候群とはなにか?それについては私の前回の手記にて詳しく取り扱っているので参照いただきたいが、再度ごく簡単に説明すると「帝国バスケのレベルの高さに気後れし、疎外感を感じた帝国兵が、最終的に復讐心に支配されたメンヘラと化す奇病」のことである。
私は以前にある帝国兵がこの病を発症した際、2度と同じ悲劇を起こさないようにとの想いから対策本部を設置し、その本部長として独自にこの奇病の研究を進めていた。しかし、その私が帝国症候群のそれもよりによってMAXのL5を発症してしまうとは、まさにミイラ取りがミイラである。
この病の研究者であるが故に、その恐ろしさについては十二分に承知している。L5に達した時点でアウト。その精神は激しく汚染され既に常軌を逸しており目の前の全ての事象を悪く捉えてしまうようになる。もちろん一般的な精神治療による克服は不可能。開発を急いでいた更生プログラムはいまだ完成せずといった状況で、要するに詰みである。
私は観念し、ここいらが潮時であると察した。
結局、私には「力こそが正義、弱き者は強き者にただ蹂躙されよ」というEW時代から続く帝国軍の旧態依然の悪しき体質、歪みきった思想を変えるという当初の目的を達成することがついには出来なかった。むしろ知らぬ間に強きものが弱きものを支配する、その支配構造のパーツの一部に組み込まれていたのだった。
もちろん、足手まといのネタキャラ要員としてこのまま帝国にしがみつき、身内に馬鹿にされながらも他者には「俺様は帝国軍だ!」とイキリ倒す、そんな雑魚モヒカンキャラのような家畜同然の豚の人生を歩むこともあるいは可能かもしれない。しかし私はそんな生き恥を晒すよりは潔い死を選びたい。
そして、私が死を選ぶということは・・・。
さて、これまで随分と引っ張ってきたが、ようやくこのあたりで明かすことにしよう。私が頑なに帝国タカ派の立場をとり続けたもう一つの理由、それは
「帝国を弱体化するため」
である。私は以前から、私の手によって帝国の更生がなされたらそれが1番、しかしもし私が志半ばにして倒れるようなことがあれば、そのときには同時に帝国にも滅んでもらおうと考えていた。
そのためにはタカ派として振る舞い、人材を枯渇させておく必要があったのだ。
山岡という便利な奴隷を失った帝国の人材枯渇はもはや深刻なレベルとなる。おそらく陛下は帝国を潰すという選択を取るだろう。私はA氏やB氏はともかく、陛下のことは今でも別に嫌いじゃないし、むしろどちらかというと感謝している。
その陛下を裏切り、帝国を辞めることで、その結果として帝国は潰れ悲しい思いをさせてしまう。
帝国は私から人としての尊厳を、そしてジェムスを奪ったが、私もまた陛下から、彼が今まで育て積み上げてきた「帝国」を奪おうとしている。
究極の選択。自分が死んで同時に帝国も滅ぼすか、あるいは我慢して続けて帝国も残すか。私は、帝国を生かすも殺すも全ては自分次第という究極的な状況に置かれていた。
そしてついに私は選んだ。
自分が死に、帝国も滅ぼすことを。
やはり私にとって帝国とは、陛下を中心に、bf、まるみ、せんと君らかつてフリスタ界を沸かせた五賢帝たちによる神聖なるクラブであり、彼らが居てこその神聖EnjoyD帝国なのだ。チャリ岡だのA氏だのB氏だのが勝手に私物化していいクラブじゃない。
私が恐れ、憎み、そして同じくらい愛した、そんなかつての帝国は残念ながらもう戻ってはこない。
ならば、もう終わってもよいのではないか?帝国は、これ以上われわれのようなどこの馬ともわからん連中が土足で踏みにじっていいような場所じゃないのだ。
だから、帝国が変わりきってしまう前に帝国を終わらせ、せめて人々の記憶の中で伝説のクラブとして永遠に生きてもらおう。
それが私、帝国裏五賢帝チャーリー山岡の、帝国兵としてのファイナルミッション。
その名も「帝国補完計画」だ。
****************
こうして、私は帝国をやめた。そしてやはりほどなくして帝国は滅亡した。無事に帝国補完計画は完遂したのだ。
いかなる理由があろうと1つの国家を滅亡させた、その直接的引き金を引いたのは間違いなく私である。
だから私はその代償を払わなければならない。ゆえに私は200万かけたフリスタをひとまず辞めようと思う。
まあ代償だのなんだのは抜きにしても、残念ながら私はとうの昔にフリスタに飽きている。1か月前からちょくちょく野良をやったりして帝国以外の活動もしていたが、とてもじゃないがこれを面白いとは思えなかった。残念ながら私にとって既にフリスタは自分を楽しい気持ちにさせてくれるアイテムではなくなっているようだ。
思えば初代フリスタも2年くらいでやめた。私にとってフリスタというゲームの耐用年数はせいぜい2年なのだ。
だから、もう終わりにしようと思う。
今後、私というスター亡き後のフリスタ界がどうなるのか、そして私という貴重な財源を失ったジョイシティ社がどうなってしまうのか、それは誰にもわからない。
人々を恐怖のどん底に突き落とした、かの帝国軍は滅んでも、その先に本当に平和な世界が待ち受けている保証だってない。
そう、未来は誰にもわからない。
だが、もしフリスタ界に帝国をも超える更なる巨悪が台頭するようなことがあれば、私は地獄の底から蘇り、再び巨悪との終わりなき闘争に身を置くことになるだろう。その時のためにしばしの間、私は眠りにつくことにする。
それでは、フリスタ界の恒久的な平和と繁栄を心より願う。
皇歴2019年1月11日
元神聖EnjoyD帝国裏五賢帝
元過激派カルト組織チェリージャムCEO兼初代唯一皇帝
元フリスタヴィラン連合最高評議会議長
チャーリー山岡より。